死者は黄泉が得る

アメリカの田舎町で、道路も通わないような周囲からは隔絶された場所に建つ1軒の屋敷に暮らすのは女性ばかり6人。屋敷の中にはSUBREという死後の肉体を再生する装置とMESSという記憶をリセットする装置があった。
彼女たちは死ぬと他の5人によってSUBREに入れられて肉体を再生され、次にMESSでそれまでの記憶を白紙に戻し、擬似的な記憶に置き換えられるのだった。
それを繰り返して彼女たちは運命共同体のように生活してきたが、記憶は何度もリセットされているから、名前も過去の生活も本当かどうかはわからない。
このことは彼女たちの間での秘密であり、世間から隔絶されたこの屋敷では秘密が外に漏れる心配はほとんどなかったが、まれに迷い込んできたり噂を確かめに来たりする人間がいないわけではない。
そんなときはどう対応するかは彼女たちが決まりにあって、飲み物わ与えてそれに混入した即効性のある毒で訪問者を殺し、その後SUBREとMESSを使って彼女たちの仲間にしてしまうのだ。
したがって、今の6人もいつから入ったのかは皆の記憶がリセットされているからわからない。ただ最初の一人は誰だったのかと言う疑問はあるのだが…この不思議な屋敷の話は死後のパートで括られている。

一方、アメリカの田舎町ではクリスティンの結婚祝とジュディが日本へ旅立つ送別会を兼ねて、市内の日本食レストランで食事会が行われた。ほかに出席者は2人の高校の同級生でマーカス、タッド、スタンリーの3人。
食事会が終わりクリスティンとジュディはタクシーで引き上げ、マーカスとスタンリーは別の飲屋に、タッドはおとなしく家に戻った。そしてその夜、新婚のクリスティン家で、クリスティンの弟フレッドが死んだ。
クリスティンの主人はトラック運転手で、仕事で留守にしていて、誰もいないクリスティンの家に何らかの理由で上がりこんだフレッドが殺されたのだ。
このフレッド殺人事件はさらに発展し、第ニ・第三の事件が起きるのだが、この物語は生前のパートで括られ、死後のパートと交互に語られるのだが、死後と生前のパートは最後にクロスオーヴァーして交差し、全体の真相が明らかになる、西澤保彦らしいSF的作品になっています。
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