麦酒の家の冒険

タックこと匠千暁、ボアンこと辺見祐輔、タカチこと高瀬千帆、ウサコこと羽迫由紀子の大学生4人はR高原の国民宿舎で4泊5日の休日を過ごす。最終日にチェックアウトを終えて、いざ帰ろうという時にボアンが行方不明に。
夕方になって戻って来たボアンは、自分の車からガソリンを盗もうとしていた男を発見して追いかけ、そのまま取り逃がした挙句に自分は迷子になったという。
しかもガソリンを盗まれたのはボアンの車ではなく、同系同型の他人のものだったというオチまでついていた。そんなこんなで出発が大幅に遅れ、R高原からの山道を下って行くがもう少しで下り終わるというところで、土砂崩れで通行止めの看板が出ていた。
一行は仕方なく引き返して、遠回りになる迂回路に入り再び山を下り始める。ところが、迂回路の方でも追突事故があって車が炎上し、消火活動と復旧作業で通行止め。
途方にくれた一行は取りあえず国民宿舎に戻ることにして、今来た山道を上り始めた。だが間の悪いことは重なるもので、今度はガス欠。とっぷりと日が暮れてた山道の途中で立ち往生してしまった。

ボアンが山道を下る途中で民家らしきものを見たとの記憶で、一行は車を捨ててその民家を目指して2時間以上歩く。やがて着いたのは別荘風の建物で鍵がかかっていたが、緊急避難と言い訳してガラスを割って侵入した。
だが、その建物は中には家具はおろかほとんど何もなかった。あるものは1階にベッドが一つと、2階のクローゼットの中にある冷蔵庫くらいのもの。
そして、その冷蔵庫の中にはビールがぎっしり。エビスビールのロング缶だけが入れられるだけ入ったいたのだ。さらに冷凍庫には冷えたジョッキが13個。
冷蔵庫の入りきらないビールは側にケースごと積み上げられ、ビールの総本数は4ケース96本。暫く何も口にしていないタックたち4人は、くビールを飲むしかなかった。
幸い4人ともビールが好きで、それはよかったのだが、やがてこの異様な建物に関する推理がそれぞれ展開される。家具がまるでなく、窓にはカーテンすらない。
トイレにあるトイレットペーパーはほんのひと巻きほどで、そのほかにはベッドとクローゼットの中に入った冷蔵庫だけ。しかもその冷蔵庫には多量のビールと13個の冷えたジョッキ。いったいこれは…

作者自身もあとがきで語っているが、長篇のアームチェアディテクティブで、4人の学生が異様な麦酒の家の解釈を巡っての推理をビールを飲みながら繰りひろげる傑作。
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