人格移転の殺人

アメリカ西海岸に恋人を訪ねた苫江利夫は、見事にその恋人に振られ、傷心を癒しにドライブしS市のショッピングモールに入るり、さらにその中のファストフード店「チキンハウス」に。
その「チキンハウス」は単品メニューで客も居らず不思議な雰囲気だった。店の中にはシェルターと言われる茶筒を半分に切ったような不思議な物体が鎮座している。
もっとも、それはシェルターかどうかもわからず、アルバイトの若い店員がそう聞かされているだけであった。しかも、その店は狭く立地も悪くとても商売にはならないが、モール側が無料で借している上に赤字を補填してくれているという。
事実、江利夫もただ一人の客で、ほかの客が入って来る気配もなかった。店員の話と合せて妙な気分でいる江利夫。ところが、そんなとき客が立て続けに入ってきたから、店員も江利夫もびっくり。
日本人の女とフランス人の男の若いカップル、アラビックの若い男、季節感のない格好をした似非マッチョのおじさん、そして見事なプロポーションの美人。
店内は美人を巡って興奮状態で、やがて鞘当合戦から険悪な雰囲気になってくる。と、その時に大地震が襲い、モールの天井が落ち、停電となる。

店員の誘導で客たちはシェルターの中に逃げ込んだが、全員が入りシェルターの扉が閉められた瞬間に不気味な音がし、皆は気を失ってしまう。
次に江利夫が気がついたのはベッドの上。そしてCIAの人間が江利夫を監視していた。地震の時に「チキンハウス」にいた人間も全て同じであった。ただ江利夫の体が江利夫のものではなく、季節感のない格好をした似非マッチョのおじさんのものになっていた。
江利夫をはじめ全員がCIAから説明を受ける。シェルターと思われていたのは人格移転装置で、江利夫をはじめ「チキンハウス」にいてシェルターに逃げ込んだ6人の人間は人格が移転してしまったというのだ。
江利夫の人格はマッチョおじさんの体に、マッチョおじさんの人格は美人の体に、美人の人格はフランス人の男にと言う具合だった。
この人格移転は順番が決まっており、6人の間で順番どおりに移転を続けるという。この移転は生涯続き、移転の間隔も一定していないというのだ。
CIAは人格移転装置は国家機密だから6人は生涯幽閉されると告げ、皆はパニックになる。やがてその中で連続殺人事件が発生し…
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