殺意の集う夜

徹夜明けの朝、六人部万理がこれから寝ようとしていたところに四月園子から電話が架かってくる。万理や園子の通う大学の助教授一日宮和徳の別荘まで、これから車で送れという。
間もなく台風が直撃するという日であり、万理は断ろうとするが、わがままで自分勝手な園子に結局押し切られ、2人は豪雨の中を和徳の別荘に向う。
和徳は大金持ちの妻を持ち、山の中に建つ豪華な別荘も、妻の父親が結婚祝に贈ってくれたものだった。園子は結婚している和徳の不倫相手に自ら手を上げ、和徳の後を追いまわしていた。
もっとも和徳からは全く相手にされていなかったが、本人は大真面目であった。それが、この日和徳の別荘に電話をしてみると、和徳が午後からなら来ても良いと言ってくれたと園子は万理に話をした。
園子は有頂天でOKしたものの、別荘までの交通手段がないことに気づき、万理に電話をして車を出してくれるように泣きついたという訳だった。

ところが別荘に着くと和徳は居らず、留守番と称する大学生五百棲が一人でいるだけだった。狐につままれたような園子と万理。
その直後から別荘にはいろいろな人間がやってくる。別荘の更に奥に建つホテルに、捜査に行った帰りだという刑事、そのホテルに宿泊する予定の夫婦とその父、ガス欠で車が動かなくなったホテルの送迎バスの運転手。
話を聞くと別荘とホテルの間、別荘と麓の間で土砂崩れがあり、別荘からはどこへも行けない状態であるらしい。五百棲は自分の判断で別荘に集まった人間を全て泊めることにした。
その夜のこと、万理ははずみで五百棲をはじめ刑事や、バスの運転手など園子以外の6人を殺してしまう。殺意はなくまったくの過失であった。
ところが、その間に園子も部屋にあった大きな花瓶で頭部を強打され死んでいた。万理は確かに6人を殺したのは間違いないが、絶対に園子は殺していない。
だが、土砂崩れで隔絶された別荘には他に人がいない。すると園子を殺したのは、万理が殺した6人の中の誰かということになる。
万理は園子を殺した犯人を突き止めて、自分が犯した罪もその人間に被せようと考えて、園子殺しの推理をし始める…
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