双面獣事件

奄美大島の近くにあるといわれる髑髏小島は、地図や海図にも載っていない小さな島であった。日本が軍事国家であったころ、そこには軍の施設が作られ、極秘の研究がなされていた。
その秘密を保つために軍は島を無いことにしたし、カモフラージュのために近隣の島から住民を強制移住させて、人工的な漁村を作った。戦争が始まると村では、宇宙人が歩いていたり、空飛ぶ円盤が着陸したり、人間が自然発火して焼死したりという数々の怪異現象が起きた。
やがて戦局は厳しくなり、日本の敗戦が必至となると村人たち全員が軍の命令で海岸に集められ、そこで虐殺された。その虐殺は不気味な骸骨のような男たちと、のちに双面獣とよばれるようになる、顔が二つ、腕が4本ある2メートル近いゴリラのような怪物によって行われた。
とくに双面獣は、蹂躙や殺戮をすることに喜びを感じるらしく、嬉々として村人を襲ったという。それから二十数年、魔王ラビリンスの魔手がこの地域を襲った。
髑髏小島をはじめ周囲には多くの小島があり、それらの島には髑髏小島同様に軍の施設が設けられ、秘密研究が行われていた。そこでは軍と協力した科学者や医者たちが非人道的な人体実験を繰り返していたという。
それらの島から死体の一部が海に投下され、鹿児島県や宮崎県の海岸に流れ着いたこともあったという。さらにそれらの島々では、今も秘密裏に実験が継続されているとの噂もあったし、島々のひとつである猿神島では、大猿様と呼ばれる異形の動物が目撃されていた。
それらの島々にラビリンスの魔手が伸びたのである。猿神島では異形の動物、それは目撃者によれば双面獣らしいが村を襲い、村はほぼ全滅した。火災が起き、家屋のほとんどは焼け落ち、村人の大半が殺された。死体は人間では絶対にできない蹂躙が加えられていた。
一方奄美大島にある海洋開発医療センターでは、職員と入院患者の全員、さらにセンターに忍び込んだ青年団の団員達が殺戮された。その死体も蹂躙されており双面獣によるものと思われた。宿敵ラビリンスを追う二階堂蘭子はさっそく現地に乗り込んだが…
江戸川乱歩の「人間豹」のような、魔物対名探偵という話を書いたと著者は述べるが、個性的に過ぎるうえグロの場面がやたらに多く、少なくとも本格ミステリとはいえないだろう。

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