τになるまで待って

新聞記者の富沢はカメラマンの鈴本ともに、超能力者神居静哉のもとに取材に向かった。神居静哉の屋敷は愛知岐阜県境に近い辺境の地で、伽羅離館といい、山道を車で上がって駐車場に至り、さらにそこから1時間半ほど徒歩で山登りをしなければならなかった。
同じころ私立探偵赤柳に率いられたC大学の山吹、加部谷、海月の4人も伽羅離館に向かった。伽羅離館の図書室にある文献や資料調査のアルバイトを赤柳が引き受け、その助手としてC大学の3人が選ばれたのだった。
伽羅離館に住むのは神居のほかには山下、平井という2人の女性だけで、2人はお手伝い兼女中の役割だった。6人はそれぞれ取材をしたり、調査にかかったりしたが、その夜一同を会した晩餐のあと、加部谷を実験台にした、神居のパフォーマンスが行われた。
神居が加部谷を異界に招くというのだ。加部谷は神居の指示通り動き、食堂に隣接する神居とともに居間に入って行った。その後ほかの人間もしばらくして居間に入ったが、そこには加部谷と神居の姿は無かった。ただ声だけは疎通し、会話もできた。まさに声はすれども姿は見えずの状態だった。
充分に神居の超能力を見せられた一同は今から食堂に戻り、しばらくして居間から加部谷と神居が出てきた。このパフォーマンスを終え、一堂は再び仕事に戻ったり自由に時間を使ったりした。
それから少しして事件が起きた。外へのドアが一切開かなくなり、さらに神居が居間の中で倒れていた。神居が倒れていた居間は、閂が中から掛けられていた。しかたなく一堂はドアを壊して手を差し入れ閂を外した。
居間の中では神居が首を紐で絞められて殺されていた。もちろん窓も密閉され、しかも鉄格子が嵌っていた。超能力者は密室の中で殺されたのだった。
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