捩れ屋敷の利鈍

岐阜県の山中にある熊野御堂家の広大な屋敷の一角に造られたそれは、メビウスの帯をそのまま拡大したもので、捩れ屋敷と通称されていた。全部で36の部屋が連なり、出入り口はそのうちの1箇所のみで、そこから36の部屋を順に通るともとの場所に戻る。
各部屋間には前後にドアが1つづつあり、前の部屋からドアを開けて入り、そのドアを内側からロックすると次の部屋へのドアが解錠されるという仕掛けだった。各部屋は床の角度が異なり、1部屋進むごとに角度が増して、ちょうど半分進むと最初の部屋の床の位置だったところが天井になる、つまり人間は最初の部屋では床に建っていたのが半分進むと天井に立っていることになる。
ちょうど昼間の部屋に、熊野御堂氏が所有する宝物エンジャル・マヌーバ飾られていた。その部屋のだけは柱があり、その柱に純銀の鎖を介して直接取り付けられていた。いって見れば捩れ屋敷自体が巨大な金庫の役を果たしていたのだった。
熊野御堂氏に招待された西之園萌絵とその付き添いとして強制的に連れてこられた萌絵のゼミの助教授国枝桃子、美術鑑定家秋野と身分を偽って来た保呂草潤平は、捩れ屋敷を見学し、エンジェル・マヌーバを見てなんとも不思議な感覚を得た。 その翌日、捩れ屋敷の中で死体が見つかり、なた熊野御堂氏もすぐ近くの密室状態の小屋の中で殺されていた。
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