魔剣天翔

那古野市郊外にある大手自動車メーカーのレーシング・サーキットで、エンジェル・マヌーヴァスの航空ショーが行われた。小鳥遊練無はエンジェル・マヌーヴァスのパイロットのひとり関根杏奈とは少林寺拳法仲間だった。
その関係で練無は航空ショーの招待券をもらい、瀬在丸紅子、香具山紫子、保呂草潤平らをショーに招いた。一方、そのころショーの楽屋裏には警察が来ていた。脅迫状が届いたのだ。
杏奈の父親である著名な画家関根朔太が所有するとされるスカイ・ボルトまたの名をエンジェル・マヌーヴァスという秘宝の短剣を持つかぎり、死人がでるというのだ。
ただ、チームリーダの西崎勇輝や関根杏奈のよれば、関根画伯はそのような短剣は持っておらず、脅迫者は完全に誤解をしているというのだ。
そんな雰囲気の中で航空ショーがはじまったが、なぜか保呂草潤平の席は空席だった。昨日の夕方から行方不明なのだ。そのころ保呂草潤平は別な場所で航空ショーを見ていた。
潤平は各務亜樹良と名乗る女性ジャーナリストから雇われたのだ。探偵の仕事だった。その依頼は関口画伯からスカイ・ボルトまたの名をエンジェル・マヌーヴァスを奪取することだった。
関口画伯のアトリエは航空機の格納庫の近くにあった。倉庫を改装したそのアトリエで寝起きをしているとの噂だったが、人嫌いでめったに人と会わなかった。
潤平は航空ショーに招かれたのを幸いに、メカニックに成りすまして敷地内を自由に歩きまわって、画伯に接近するチャンスを窺がおうと考えたのだ。

観客席でショーを純粋に楽しむ練無や紅子、紫子たち、敷地内で画伯への接近を考えながら空を見上げる潤平、脅迫状をどう理解するか頭を捻りながらもショーを見ている警察、それぞれ状況も立場も違うが、目の前で繰り広げられる飛行機の演技には魅了された。
休息を挟んでショーが後半に入り少しした時に2番機と3番機が接触し、2機とも近くの森に不時着した。少しすると火が出て機体が燃え出したが、パイロット達はパラシュートで脱出する姿が見えたので無事なようだった。
2機に乗っていたのは4人。2番機には前席各務亜樹良、後席にはパイロットの西崎勇輝、3番機前席は見習いパイロットの布施健、後席のパイロットは勇輝の息子の西崎翔平だった。
ショー用の航空機は練習機を改造したもので、2人乗りだが操縦感があるのは後席だけ。3番機の布施は研修を兼ねて、2番機の各務は取材のために便乗していた。
墜落後布施と西崎翔平はパラシュートで脱出して助かった。各務はスカイダイヴィングの経験が豊富で、これも脱出し軽い怪我を負っただけだった。
だが各務は現場から逃亡した。逃亡を助けたのは各務が依頼した探偵の保呂草潤平。2人は近くにあるラブ・ホテルに逃げ込んだ。
チームリーダーの西崎勇輝は助からなかった、というより墜落前に死んでいた。銃で撃ち殺されていたのだ。しかも背中から撃たれていたのだ。
墜落直前まで生きていたことは間違いなかった。無線が交わされていたし、第一生きていなければ2番機は飛べるはずもなかった。
西崎勇輝は、衆人環視の飛行機の後部座席の後から銃殺されたのだった。スカイ・ボルトまたの名をエンジェル・マヌーヴァスの呪いにでもあたったのだろうか…
島田荘司と新本格作家のメインページにもどる
Mystery Collection Mainへもどる


Last modified -