夢・出逢い・魔性

小鳥遊練無、瀬在丸紅子、香具山紫子、保呂草潤平の4人が那古野から揃って上京してきた。保呂草を除く3人がN放送のクイズ番組に出演することになったのだ。
保呂草はN放送の技術部に知人がいたために、つまらない用事を作って3人と一緒に上京してきたというわけだった。
ところがクイズ番組の方は女子大生大会で、紫子が勝手に応募してしまい出演が決まったのだが、本物の女子大生は紫子ひとりで、小鳥遊練無は大学生だが男、瀬在丸紅子は女だが大学生ではなく、すでに中学生になろうという息子もいる年齢だ。
ただ瀬在丸紅子は若く見えるし、小鳥遊練無は女性よりも女性っぽい雰囲気だから、紫子をはじめ絶対にバレることはないと自信満々であった。
東京駅に着いた4人は、そのままタクシーに乗って渋谷のN放送に向った。紫子たち3人はスタジオに、保呂草は技術部に友人を訪ねた。スタジオではやがてリハーサルがはじまった。
本番の収録は明日、オンエアは再来週の予定だった。一方、保呂草の方は旧友と会って積もる話をしたが、そこで私立探偵の紹介を頼まれた。
プロデューサーの柳川聖志が正体不明の人物に強請られるか、脅されるかしていて、柳川からその人物を突き止められるような人間がいないかと相談を受けていたというのだ。
保呂草は昔知り合って東京で探偵をしている稲沢真澄を紹介した。そして、その場で稲沢に電話を掛け、稲沢から柳川に直接連絡するように頼んだ。
それらのことを済ませ、保呂草は紫子たちがリハーサルをしているスタジオに向かう。後でわかったのだが、紫子たちの出演するクイズ番組のプロデューサーが柳川であった。

やがてリハーサルは休息時間になった。ちょうどそこに稲沢が保呂草を訪ねてやってきた。午後4時に柳川を訪ねる約束であったが、急用が出来て柳川が出かけたので保呂草を訪ねたというのだ。
だが稲沢は柳川に永遠に会うことはできなかった。柳川はすでに死体となっていたのだ。スタジオの外の廊下の奥の小部屋、柳川が使っていた部屋であったが、その中で柳川は拳銃の弾を2発撃ちこまれて絶命していた。
その部屋は窓はなく、出入口は2ヶ所。ひとつは廊下に面していて、もう一つは非常口だった。柳川が4時少し前に建物を出たのはわかっている。
その後で廊下側の出入り口を使ったのは立花亜裕美というアイドルタレントだけ。中に入ってすぐにビデオテープが入った箱を持ってすぐに出てきたという。
その少し後に部屋の中で小さな爆発音がした。爆発音は後でわかったことだが、銃声だったようだ。しかしその時点では誰もほとんど気に留めなかった。
立花以外に廊下側のドアを出入りしていないことは多くの目撃者がいて明らかだった。目撃者の中には紫子や保呂草、小鳥遊練無、瀬在丸紅子たちもいたし、4人とも銃声を聞いてもいた。一方の非常口は内側から鍵がかけられていた。
事件の構図を考えると、柳川が非常階段に鍵をはずして建物から出る。そのあとに立花が部屋に入り、ビデオテープを持ってすぐに出てくる。一方外に出た柳川は非常階段から部屋に戻り鍵を掛ける。そして犯人に拳銃で撃たれる…だが犯人はどうやって消えたのだろうか。
しかも凶器の拳銃も現場には残されていなかった。さらに事件の重要参考人立花もビデオテープを持ったまま現場から失踪してしまった…
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