まどろみ消去
虚空の黙祷者
水木ミドリの夫水木友則は、ある夜同級生の父親で寺の住職をしている村上武司を殺害したとして指名手配された。その夜、ミドリは子供の友太が熱を出し、病院に連れて行き家を留守にしていた。
ミドリが病院に向かうとき、まだ友則は帰っておらず、その夜以来友則は行方不明になってしまった。武司は寺で殺され、現金が奪われていた。寺からは友則の指紋が検出され、警察は友則を強盗殺人犯と断定したのだ。
それから5年、友則の行方はまったくわからなかった。母子家庭となった水木ミドリは友太のために必死で働き、村上武司の後は息子の和史が継いだ。
和史は事件から1年ほどたったころミドリのもとを訪ね、友則のことはまったく恨んでいないといい、ミドリと和史の間はわだかまりもなくなった。そして今度ミドリが仕事の都合で引っ越すことになった…

純白の女
功刀エリカはたった一人で白いカーディガンを着て駅に降り立った。吉野の案内で星川教授のもとに向かう。ある夜、エリカの部屋の窓に小石があたった。
エリカを訪ねて僕がやってきたのだ。エリカは星川教授や吉野に知られぬように僕を部屋に招きいれたが…

彼女の迷宮
京野サキは数々の犯罪を解決してきた敏腕刑事で…という推理小説京野サキシリーズを書いているのは、朝倉サキの夫聖一郎だった。聖一郎は有名な数学者でもあり、実生活では真面目で仕事一筋。
それが家のローンを払うために研究の合間を縫って推理小説を書き、これが反響を呼んでいた。だが、サキには夫の小説が面白いとは思わなかった。
そこでアメリカに長期出張に行っている聖一郎の留守に、自分で京野サキシリ-ズを書いて編集者に渡した。それがまたとんでもない話で…

真夜中の悲鳴
阿竹スピカは大学の実験棟で連日徹夜の実験をしていた。棟にはもう一人石阪トミオミという研究生が、深夜の振動を計測していた。トミオミの装置には、深夜に大きな振動している波形が現れるという。
一方、スピカの方の実験でも雑音が棟の中でしているとの結果が出た。どうもその音は使われていない地下室からしているらしい。実験を邪魔されたスピカは地下室に向かったが…

やさしい恋人へ僕から
僕が関係しているマンガの同人誌を置かせてもらっている大阪梅田の書店に、住んでいる名古屋から向かったとき、ついでにファンレターをくれたスバル氏に会うことにした。
スバル氏はドハデなパンク系ファッションで現れた。僕が書店での用事を済ませたあと、スバル氏は僕の車に乗り込んできて名古屋に行きたいと告げた。

ミステリィ対戦の前夜
ミステリィ研究会の合宿にやってきた西之園モエ。合宿では競作ミステリィの審査が行われ、その審査員にモエが選ばれたのだ。次々に俎上に上る候補作だが、モエはそのどれにも駄作の烙印を押した。
審査会が終わり、伝統にのっとり合宿所となっている寺の本堂で全員がザコ寝したが、夜中に眼が覚めたモエは…

誰もいなくなった
ミステリィ研究会が企画したミステリィツアーのテーマはそして誰もいなくなった。30名の参加者のうち5名は大学の記念館の周囲と入口に配置され、残りの25名は大学の隣に建つ高層マンションに案内される。
25名がマンションから記念館の屋上を見ると、そこでは30人のインディアンの扮装をした人間が、焚火の周りで踊っていた。25名はマンションから記念館に戻ってきたが、30名のインディアンはどこにもいなかった。
記念館の周囲と入口に配置され見張りを務めた5名は、誰も記念館から立ち去った人間はいないと断言した。

何をするためにきたのか
甲斐田フガクが大学に入学して2ヶ月、フガクに一人の友人宮本ワタルができた。そのワタルが「梅本教授に一度会った方がいい」と不思議なことを言って去っていった。
ある日、フガクがレポートを持って梅本教授の所へいくと教授は「一年後の昼休みに、図書館の地下の喫茶店で不思議な子に会う」とつぶやく。そして1年後、図書館の地下の喫茶店でフガクは…

悩める刑事
三枝キヨノは小学生の頃からのミステリマニアで、それが嵩じて大人になったら刑事になるか刑事の妻になると決めていた。そのキヨノの夫モリオが今扱っている事件は、女子高生全裸バラバラ殺人事件。疲れて家に帰って来るとキヨノは目を輝かせて、モリオの仕事の話を聞きたがった…

心の法則
モビカ氏とその姉が私に会いに山間の小さな鉄道の無人駅に降り立った。私がモビカ氏とその姉を、私が知ったちっとした秘境に案内するのが、その目的だった。そこでモビカ氏の姉は小さな小石を沢山拾った。モビカ氏いわく姉は平べったい小さな石を集め、それに絵の具で色を塗って、それで壁にモザイク画を作っているというのだ…

キシマ先生の静かな生活
キシマ先生はコンピュータの天才だったが、研究一筋で、融通など全く利かない人間だった。人付き合いも好まず、そのために万年助手であったが、かえって研究に没頭できていいと考えていた。僕とキシマ先生は周波数が一致したらしく、僕が大学院生のころから気が合った。
そのキシマ先生が計算機センターの美しい女性沢村さんに惚れてしまったらしい…


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