黒猫の三角

1年に1回、一定のルールで起きる殺人事件。3年前の7月7日に高木理香という11歳の女の子が公園で、2年前の7月7日には井口由美という22歳の女子大生が橋の下で、1年前の6月6日には33歳のOL久野慶子が寺の境内で、それぞれ絞殺された。
事件は半径300メートル以内の狭い範囲で起きていたが、いずれの事件も未解決。凶器に使われたのは特殊なナイロンベルトで、電気工事などでコードを束ねておくためのものだった。
最初の2件の事件は、それぞれ別の殺人事件として捜査されていたが、3件目が起きるとゾロ目の日にゾロ目の年の女性が殺されるという一定のルールでの事件とされ、同じ凶器が使われていることや犯行場所が狭いことなどから同一犯によるものと考えられた。
そして今年の6月6日、殺人のルールによれば44歳の人間が殺されることになっていた。

殺人事件の起きた狭いエリアの中に、桜鳴六角邸があった。桜鳴六角邸に住むのは小田原一家で、有名な数学者の小田原長治、その娘の静江、静江の夫で婿養子の政哉、静江夫妻の子供の理沙と朋哉であった。
ほかに家政婦が2人、居候の浅野美雪、東尾繁が同居し、桜鳴六角邸の離れには瀬在丸紅子が住んでいた。桜鳴六角邸は文化財としての価値も高い邸で、もともとは瀬在丸紅子のものだったが、瀬在丸家が没落して小田原一族に買い取られたのだった。
瀬在丸紅子は行きところが無くなり、小田原静江の情けで邸内の離れに住まわせてもらっているのだった。小田原家は桜鳴六角邸に隣接するボロアパート阿漕荘も所有していた。
小田原家の実質的な支配者は小田原静江で、静江は学習塾を手広く経営していた。夫の政哉は静江の経営する学習塾で数学を教えていた。
その小田原静江の誕生日は6月6日、そして今年は44回目の誕生日であった。静江の誕生日には毎年桜鳴六角邸で誕生パーティーが行われるのが恒例で、今年もパーティーが予定されていた。
そして6月6日の朝、静江のもとに過去のゾロ目殺人の新聞のコピーが届けられた。明らかな脅しであった。静江は阿漕荘に住む探偵保呂草潤平にパーティーの間の警備を依頼する。
やがてパーティーが始まり、何事も無く終わろうとしていた。その終わりごろ部屋に戻った静江だが、その直後に部屋の中から大きな物音がした。
皆が駈けつけるがドアは中から施錠されていた。合鍵を使って中に入ると、ナイロンベルトで首を絞められた静江の死体が転がっていた。
静江の部屋はパーティー会場からよく見え、何人かの人間が静江が入ってから誰一人出入りしなかったと証言。窓にも内側から鍵がかかり、外は静江が依頼した探偵に見張られていた。
犯人の脅しのとおり、ゾロ目の日にゾレ目を迎えたばかりの女性が、密室の中で殺されてしまったのだ…
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