女王の百年密室

時は2113年10月、エンジニアリング・ライターのサイバ・ミチルはウオーカロン(一種のロボット)でミチルのパートナーのロイディとともに旅に出る。
その途中で車が故障し、援けを求めて女王が治める楽園ルナティック・シティにやって来た。そこは100年前の遅れた知識や環境で100人余りの人が生活する小さな町だった。
ルナティック・シティまでのまともな道がないために、ここは外部とは隔絶しており、さらに周囲を高い塀で囲み、門には門番を置き下界との交流を拒んでいた。
ルナティック・シティはかつて中国の影響下にあったらしく、そこの人間は東洋風の名前を持っているが、人種的には必ずしも東洋人というわけではないようだった。
住人は外部に出ることは一切せず、ルナティック・シティで平和に暮らしていた。住人の間では争い後とはおこらず、恨みや憎しみも持つことはなかった。
そのために罰も罪も存在せず、警察や裁判所もなかった。殺人や自殺など死というものも存在しなった。ここの住人は寿命が来ると永い眠りにつくのだった。
それは文字通りの眠りであり、体を冷凍保存状態に置いて細胞の老化を止め、それにともなって肉体は老いず、したがって死は存在しないというわけだった。

サイバ・ミチルはルナティック・シティで歓迎される。住人に聞くミチルが来ることは予め予言されてわかっていたと言う。予言することは、女王の大事な役目であり、それをミチルは半信半疑で聞く。
やがてミチルは女王への謁見を許された。女王の宮殿は500人は入れる広間を持つほどの広大なもので、その広間の奥に円形のエレベーターがあった。
そのエレベーターは舞台のセリといったほうがよく、それに乗って上がっていくと2階が女王の部屋であった。
ミチルが女王との謁見を済ませた翌日、女王の部屋で第一王子が永い眠りについた。ミチルはその現場に立ち会ったが、第一王子の首には紫色の策絞があった。
ルナティック・シティの言葉では永い眠りだが、世間一般では第一王子は何者かに絞殺されたのであった。そして第一王子が最後に目撃さてから死体が見つかるまで、女王の部屋は完全な密室であった。
女王の部屋はエレベータ以外には出入口はなく、その下の部屋には女王をはじめ複数の人間がいたのだった。犯人はどうやって第一王子を殺したのだろう…
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