詩的私的ジャック

私立S女子大家庭環境学科の演習で建てられたログハウスの中に死体があるのが見つかった。朝早く出勤した杉東という助手が、ログハウスに灯りが点いているのを不審に思って、嵌め殺しの窓から覗いて発見したのだ。
死体は私立T大学経済学部の前川聡美のもので死因は絞殺。死体は下着だけにされ、腹部にはナイフで直線の傷がつけられていた。
現場のログハウスはドアも窓も内側から鍵がかけられ密室状態にあった。ドアの鍵は閂であり、隙間もなくて外からの細工は不可能に思われた。
それから3ヵ月後、今度は私立T大学の液体窒素の冷却ポンプ小屋で女性の死体が発見された。状況は3ヶ月前のS女子大事件と同じで、被害者は下着姿で腹部には刃物でZ状の傷がつけられていた。
現場は独立した小屋で入口は引き戸一箇所しかなく、この引き戸につっかい棒をし、そのつっかい棒を強力な接着剤で固定してあった。
そのために最初は引き戸が開かず、複数人で強引に引き開けつっかい棒をへし折って戸を開けたのだった。第二の事件の被害者は相田素子、S女子大の学生だった。

2つの事件の捜査線上に浮んだのはロック歌手結城稔。結城は国立N大学建築学科の学生でもあり、犀川が担任であった。結城が疑われたのは、被害者2人が熱烈な結城のファンであり、結城のマンションに行ったことがあること。
そして結城の人気曲「詩的私的ジャック」の歌詞に、殺人の状況が似ていたからだった。警察は結城をマークして尾行をつける。
その結城がN大学の大学祭の夜、車で夜の高速を走り、警察もそれを尾行した。その間にN大学の実験施設の中にある無響室で、最初の事件の発見者であった杉東助手が殺された。
現場は又も密室で、しかも杉東の腹部には三角形にナイフで傷がつけられていた。しかも警察が高速で尾行していたのは結城稔ではなくその兄で杉東の夫の結城寛であった。
結城寛は稔に頼まれて替え玉を勤め、大学に戻ってみると妻が殺されていたのだ。そして稔の行方は不明となった…
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