笑わない数学者

天才数学者天王寺翔蔵博士は、三重県の山中にある三ツ星館に住んでいた。三ツ星館は博士の女婿片山基生の設計で、オリオン座の三ツ星をイメージしたものだった。
その名の通りに3つの円形の建物が建ち、中央の建物はセンターホールと呼ばれる大きな空間がほとんどを占め、その中央にはステージがあって、高価なプラネタリウムがあった。
そのセンターホールのある建物から2本の廊下が対称に伸び、1本は青いラウンジのある建物に、もう1本は赤いラウンジのある建物に繋がっている。
青、赤のラウンジはその色のライトで照明されていることから名付けられ、青のラウンジの周囲には1号室から6号室まで客室が同心円状に配置され、赤いラウンジの周囲にはキッチンや応接室、倉庫、使用人の部屋が並んでいた。

クリスマスの日に三ツ星館では毎年パーティが催される。翔蔵博士は10年前から中央のホール下にある地下室で暮らしており、絶対にそこから出なかった。
パーティにも隠しカメラとインターフォンでの参加であった。ほかの参加者は博士の長男の妻の律子とその息子の俊一、基生の妻で博士の娘の亮子、亮子の子供の志保と和樹、それに亮子の愛人で建築家の湯川重治の5人であった。
今年はそれにN大学工学部建築学科助教授の犀川とN大の学生西之園萌絵が加わる。それに三ツ星館の使用人の鈴木君枝とその息子昇が今年のクリスマスに三ツ星館にいた全員だった。
パーティの冒頭、人々が博士の話を聞きながらプラネタリウムに見とれている間に、庭に立っている大きなオリオンのブロンズ像が忽然と消失。
博士が像を何らかのトリックで消したのだ。博士は「この謎が解けるか」と人々に挑戦した。そしてその夜、消えたブロンズ像を見て気分が悪くなって部屋に運ばれた天王寺律子が、殺された。
律子の部屋は1号室だったが、死体は再び忽然と現れた庭のブロンズ像の脇に転がっていた。そして律子の手には1号室の鍵が握られていた。
1号室は鍵がかけられていて、開けてみるとそこには2号室にいるはずの天王寺俊一の死体が。犀川助教授と西之園萌絵はブロンズ像消失と不可解な殺人事件の謎に直面した。
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