建築屍材

第11回鮎川哲也賞受賞作。
夏の短い休みに入ったビル建設現場に忍び込んだ浮浪者が目にしたものは首、手足そして2つに縦に切られた胴体と7つに解体された3人の死体。しかもご丁寧にもそのすべてに1〜23のナンバーが書かれた荷札がつけられていた。
浮浪者が悲鳴をあげて建設現場を逃げ出したが、その姿を建設現場の向かいにあるうどん屋「たどころ」の2階にいて受験勉強に励んでいた高校生田所裕一に目撃されていた。
裕一はすぐに休暇で遊びに来ていた従兄弟の宮村達也に告げたが一蹴された。それから約4時間後、転寝していた達也は裕一に起こされる。建設現場に誰かがいるというのだ。その根拠は懐中電灯の光が現場で動いているといるから。
しかも「たどころ」でアルバイトをしている達也の同級生相川百瀬も一緒に懐中電灯の光を目撃していた。裕一は建設現場でアルバイトをしていたこともあり、ある程度現場のことを知っているから心配でしょうがない。そこで達也と百瀬、裕一の3人は現場に行ってみることにした。
1階から順に見ていったがどこにも怪しい人物はいなかった。殺風景な建設現場だから隠れるところはなく、人の姿があればすぐにわかる。やがて皆は2階に移ったが、そこで怪しい人影を見た。人影は事務室に入っていったが、達也たちが入ってみるとそこには人っ子一人いない。
どこからか逃げたに違いないとは思うが、どう考えても逃げるルートがないのだ。夏の朝は早く、日が昇り始めたために仕方なく一同は現場から退散した。
一方、このビルを建設している江津電気の江津社長と秘書の三井が行方不明になり、江津の家に江津のものと思われる切り落とされた小指が入った宅配小包が送られてきた。
またY県の高校教師玉村洋一も行方不明となり、同じように小指が家族のもとに送られてきた。そして江津電気の名古屋のビルの建設現場でも殺人事件が起きた。屋上で左官工の関内が背中をナイフで刺されて殺されているのが見つかったのだ。しかも現場のコンクリートはまだ生乾きで、現場には被害者の足跡しかついていなかったのだった。
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