名探偵木更津悠也

京都の街中に現れるという白幽霊にまつわる4つの事件。
白幽霊
京都の名家で戸梶産業の社長をしている、戸梶康和が夜10時過ぎに自室で刺し殺された。時間のあった時刻、その部屋にいた犯人は、奇妙なことに部屋のカーテンを逆コの字の形に切り抜いた。
その様子がシルエットとして戸梶家の外から目撃されていた。目撃者は帰宅途中の会社員で、切り取られた隙間から見えた犯人の目は、殺意に満ち溢れていたと言い、その目を見た会社員は恐怖で一目散に駆け出した。
戸梶家では康和の後継を巡ってトラブルがあった。先代社長で康和の息子の秀幸が飛行機事故で死亡すると、秀幸の妻の美智子の実家山岸家が戸梶産業の乗っ取りを画策しだしたのだ。
もともと美智子との結婚に反対だった康和は急きょ社長に返り咲き、甥の影敏を養子に迎えて後継者とした。影敏は内縁の妻とともに邸内の別棟に入り、康和の目にかなうかどうかチェックされている状態だった。
康和が殺されたのは、そんな状況の時で、康和の妻の加寿子や娘で秀幸の姉の景子、それに影敏はみな美智子犯人説で一致していた。美智子はそれに対抗して名探偵木更津悠也に捜査を依頼した。

禁区
某学園文芸部員の樋脇薫香と牧園知耶子、市来隆次、溝辺真紀に薫香の恋人の笠沙隼人の5人は御殿通りにでるという白幽霊を見に行くことになった。全身白づくめの幽霊は、半年前に行く不明になった薫香たちの親友坊津夏苗の幽霊かもしれないと思ったからだ。
夏苗は継母との折り合いが悪く、プチ家出もしょっちゅうだったが、半年ほど前に継母と大喧嘩をして家を飛び出したまま、どこに行ったのか行方が分からなくなり、自殺説も出ていた。その夏苗は白が大好きで、服もいつも白を着ていた。
5人が御殿通りに入ると、驚いたことに白幽霊が本当に現れた。一目散に逃げる5人。白幽霊は夏苗とは似ても似つかぬ顔だったが、幽霊を実際に目撃した5人の様子は多かれ少なかれ変化した。
特に変化が大きいのが溝辺真紀で、霊感少女としてあらぬことを口走り、最近では文芸部の部室に結界を張るとして、妙なお札をベタベタと貼り付ける始末。それを咎めたのが知耶子だったが、その知耶子は部室で殺されてしまった。しかもその死体には部室にあった消石灰がふんだんに掛けられていた。

交換殺人
名探偵木更津悠也のもとを訪れたのは、平凡で印象に残らないタイプの会社員平山勝。平山によれば先日、妻の俊子と喧嘩をし、家を飛び出して飲み屋に行った。その飲み屋がどこかは記憶にない。
そこで知り合った男と交換殺人の契約をしたというのだ。お互いに殺したい人物の名と住所を書き、それを交換した。平山が殺したい相手として書いた名は、もちろん妻の俊子だった。
殺人は平山の方が先に実行することになっていた。その夜平山は泥酔し、はっきりした記憶はないのだが、翌日ポケットからメモが見つかり、肝心要な点は思い出したが、怖くなってメモは捨ててしまった。
平山が先行なので、平山が殺さなければ、俊子も殺されないはずと平山は高をくくっていたのだが、なんと相手のメモに書かれていた男が、夜道で殴り殺されてしまった。その男の名は湯舟啓一といい、これまた平凡な会社員だった。
だが平山にとっては恐怖だった。誰だかわからない男が、平山の依頼によって俊子を殺しに来るのだ。そこで平山は俊子を広島の実家に避難させ、木更津のもとに相談しに来たというわけだった。

時間外返却
1年前に失踪した女子大生橘鈴子の死体が、私鉄の線路脇の林の中から見つかった。死体とともにポーチが埋められ、そのポーチの中のカードや学生証から名前がわかり、歯型を調べることで鈴子の死体と特定された。
鈴子が失踪し日ははっきりしていた。鈴子の父影夫は、鈴子の無念を晴らしてほしいと木更津のもとを訪れ、哀願した。


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