メルカトルかく語りき

銘探偵メルカトル鮎とワトソン役でミステリ作家の美袋三条が挑む、5編だがミステリとしては…
死人を起こす
1年前、高校3年生のグループが通称カレー荘に2泊3日の日程で泊まりに行った。男4人と女性2人の6人組で、そのうち長谷という男の子の父親が不動産会社を経営していて、その管理物件がカレー荘だった。
カレー荘というのは高校生たちが勝手につけた名前で、日本びいきのドイツ人が建てた家だった。1階が洋風レンガ造り、2階が古い日本の民家の造りで、インド人から見た日本人のカレーにひっかけた名だった。
カレー荘の2階は大きな鶴の部屋と、その半分の大きさで対になった桜の部屋と鹿の部屋からなっていた。いずれの部屋も部屋の引戸には花札の絵が描かれてあった。
そしてその夜、桜の部屋から参加者のひとり生野武雄が転落死した。鶴の部屋で缶ビールで宴会をしていて、酒に弱い生野は寝てしまい、皆で桜の部屋に移し、その結果生野は桜の部屋で一人で寝ていたのだった。
それから1年、生野の一周忌に他の5人が集まった。1年前の生野の死は事故とされたが、5人とも本当に事故なのかという、もやもやとした気持ちを抱いていた。そして長谷やそのもやもやを晴らすために名探偵を雇ったというのだった。

九州旅行
美袋の住むマンションの301号室は、構造上ほかの部屋と違って通路を折れた奥まった場所にあり、階段やエレベーターからも離れていた。午前6時前、突然訪ねてきたメルカトルに起こされて外に出た美袋は、血の匂いがすると言うメルカトルに導かれて301号室の前に立った。
ドアノブに手をかけると、ドアは開いていた。メルカトルはそのまま部屋に上がっていく。すると部屋の中には包丁を背中に突き立てられた男の死体があった。手にはマジックを握った死体の主は、その様子からこの部屋の住人仙崎のものと思われた。

収束
和歌山県南部の沖合に浮かぶ小さな島にある岩屋荘は、島全体が宗教の島だった。とはいえ宗主小針を慕う数人の若者が共同生活をし、小針の秘書と家政婦がいるだけという小所帯だった。
そこで信者寺尾は恨みのある耀子を、その前に耀子は内野を、内野は直美をそれぞれ拳銃で殺したのだが、その連続殺人事件が起きる前に、島には神秘学者アストロの名を騙った銘探偵メルカトル鮎が助手の美袋とともに小針に招待されて来ていた。

答えのない絵本
メフィスト学園の4階にある理科準備室は、オタク教師の那須野山彦がほぼ独占して使っていた。那須野は美少女オタク系で、昨年まで名を伏せてオタク系ホームページを開設していたことがバレて問題になったが、図太い男で今も物理の教師をしていた。 那須野が準備室にいるのは職員室にいにくいからで、いつも準備室のパソコンで美少女アニメ動画や番組を見たりしていたが、ここ数日は物理の試験問題作成のためもあって籠っていたようだ。 さて事件は放課後にあった大きな地震の後に起きた。那須野に来客があり、校内放送で10分おきに4回も呼び出されたにもかかわらず一向に洗わらない那須野に業を煮やした客と他の教師が準備室に来て発覚した。そこには殴り殺された那須野の死体が転がっていたのだった。 4階の4つの教室には20人ほどの生徒が居残っていた。4階から降りる階段は監視カメラや他の生徒に見張られていて、誰も通っておらず、犯人は必然的に20人の生徒の中にいると考えられた。そこでメルカトルの出番となったわけだった。

密室荘
メルカトルが手に入れた信州にある別荘密室荘。メルカトルと美袋が泊まっていたある朝、密室荘の地下に男の死体が転がっていた。明らかに他殺死体だった。別荘はドアも窓もすべて内側から施錠されていた。つまり犯人は…


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