柩の花嫁

フランス、ブルゴーニュ地方にあるシャトー・リュミエールは、日本の貿易会社が買収し、小さなホテルとして経営していた。
その貿易会社社長の跡継ぎ萩元高志はパリで佐伯香菜と結婚式を挙げ、2人の新婚旅行を兼ねてシャトー・リュミエールに一週間滞在することにした。
その間にささやかな結婚披露のパーティを開く予定で、香菜の友人4人と高志の弟悟志、それに悟志の友人のフリーカメラマン北岡公平を招いた。
ところが高志と香菜がシャトーについた途端に雰囲気がおかしくなる。香菜がシャトーの日本人従業員山県亜紀夫に一目ぼれしてしまったのだ。
山県亜紀夫はシャトーが日本の貿易会社に買い取られる前からシャトーに住んでいた人間であった。シャトーが日本の貿易会社に買い取られたのは持ち主が死去し、遺族がシャトーを維持できなくなったからだったが、死去した以前の持ち主の伯爵夫人は芸術家のパトロンをしていた。
山県亜紀夫も伯爵夫人に寄生していた自称芸術家の一人で、シャトーが日本の貿易会社のものとなった後も、なにかと便利だというのでそのまま貿易会社に従業員として雇われていたのだった。
香菜はその山県亜紀夫を見た瞬間に惚れてしまったのだが、山県亜紀夫の方も新婚の香菜たちを一目見て惚れてしまったようだった。香菜は後からシャトーにやって来た友人の一人に高志と別れて山県亜紀夫と結婚すると言い出す始末だった。

一方、高志の方も問題を抱えていた。香菜と結婚するために手を切った水商売の女山吹真佐枝が高志を諦めきれず、今回の香菜との結婚をブチ壊すと息巻いていたのだ。
山吹真佐枝は高志と香菜の滞在に合せてシャトー・リュミエールを予約し、乗り込んで来た。高志は何とか駅で真佐枝を迎えて密かにシャトーに連れ帰り説得をしたが真佐枝は聞き入れなかった。
しかも庭での真佐枝の説得の様子を立ち聞きされ、さらに香菜にも女がいることを勘ぐられてしまう。結婚披露パーティはなんとか行われたもののギクシャクしたものとなり、香菜は高志の裏切りと山県亜紀夫のことで途中でパーティを抜け出し部屋に閉じこもってしまう。
そして翌日は香菜は部屋から一歩も出ず、一方高志も香菜のことをほっぽり出してどこかに出かけてしまい、周囲の人間はとまどうばかりだった。
そんなときにシャトーの塔の部屋の最上階から出火し、その部屋から真佐枝が転落死するという事件が起きた。しかも真佐枝の死体は香菜のウェディングドレスを着て死んでいた。
当初真佐枝のあてつけ自殺と思われたが、塔の最上階の部屋を調べてみると不審な点がいくつかあった。真佐枝の死は意図的なものかもしれない、と何人かが思い始めたころ、今度は香菜が鍵の掛かった自室で殺された。

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