阿弥陀ヶ滝の雪密室

新興宗教ネイチャーズの教祖柳瀬留二が殺された。生きながらにして胴体を切断されるという、無残な殺され方だったようで、その上半身が岐阜県の長良川河口付近で発見されたのだが、下半身は行方がわからないままだった。
遺体にはJの文字が書かれたペンダントが掛けられており、このことから事件はシリアルキラーJの犯行によるものと考えられた。シリアルキラーJとは、ネット上で標的を見つけては殺して回るという連続殺人犯で、数か月前に寝台特急カシオペア絡みの事件を起こしていた。
「あいつを殺してやりたい」と思っている人に代って悪人を成敗するのがシリアルキラーJで、その標的をネット上で見つけているのだった。カシオペア事件では刑事の 胡田キョウジ も巻き添えをくって意識不明の重体となり入院していた。
キョウジの恋人友梨はキョウジを見舞いに頻繁に病院を訪れていたが、実はキョウジの意識が友梨に入り込んでおり、共存していた。したがって友梨の聞いたこと見たことはすべてキョウジも共有できるのだったが、このこと自体は2人だけの秘密だった。
ネイチャーズという宗教団体は、厄は全て体内の悪い血が引き起こすといい、トリックを使って人体を切断して悪い血を絞り出して血を入替えるという演技を見せ、信者を獲得しているという詐欺のような行為をしていた。
この事件が報道されると友梨も、友梨の中に入り込んでいるキョウジも緊張した。またJが活動を開始したのだ。さっそく友梨はキョウジの意識とともに事件を調べ始めたが、意外と柳瀬を殺したいとまで思っている人物はいないようで、ネットでも1件も検索に引っかからなかった。
一方、キョウジの入院している病院で誘拐事件が起きた。誘拐されたのは交通事故で入院している幡野一輝という6歳の男の子で、キョウジの病室に深夜遊びに来たところを何者かに誘拐されたらしい。このところ連続して発生している幼児誘拐事件との関連が疑われていた。
さらに誘拐が発生したときキョウジが誘拐犯に首を絞めて殺されそうになっており、一輝を捜しに部屋に入って来た看護師を後頭部を殴られていた。キョウジは無事だったが、キョウジ殺害未遂犯人が誘拐したのかもしれなかった。
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