ふたり探偵

向河原友梨は川端真理こと星崎綺羅の取材旅行に同行することになった。旅行情報誌の取材で、北海道の食べ歩きと豪華寝台特急カシオペアを組み合わせた企画で、ライターには人気のノンフィクション作家星崎綺羅が起用された。
大手のY出版社の編集長南条渉とその下請けのプロダクション社長岡崎美樹、それにカメラマンとして小早川清香も一緒の旅だった。友梨は清香から星崎綺羅の助手という立場での同行を頼まれたのだ。清香は友梨の親友であった。
この取材には友梨の助手である笹川耕平も同行する予定だった。耕平は20歳のオタク系の人物で、フィギアと鉄道が趣味だった。その耕平がカシオペアに乗れるとあって、勝手に清香から仕事を受けたのだった。
しかし耕平は実際には取材に同行しなかった。前日に行方不明になってしまったのだ。携帯電話はつながらず、まったく消息不明であった。あれほど楽しみにしていたカシオペアの旅を、自らすっぽかすとは考えられなかった。
友梨には心当たりがあった。シリアルキラーJだ。シリアルキラ―Jとは、世間を騒がす殺人鬼だった。すでに4人が殺されていた。その犠牲者はマネキン人形を抱いていたり、ワインを満たされたバケツに頭を突っ込んでいたり、展示物のロケットに縛り付けられていたりといずれも奇妙な状況で殺されていた。
そして被害者の首には、名刺代わりにアルファベットのJをかたどったペンダントがかけられているのだった。そのシリアルキラ―Jの捜査を担当しているのは、友梨の婚約者の胡田キョウジであった。

どうも耕平は、そのシリアルキラ―Jの狙いを知っているようだった。次の犠牲者を言い当てたのだ。最初は偶然だと思われたが、二度続けてとなると偶然とは思えなかった。その耕平が当てた被害者の死が報じられる直前に、耕平の行方が分からなくなったのだ。
耕平はシリアルキラ―Jに殺されたか、誘拐されたのではないか、そう考えると友梨は取材旅行中も不安であった。そして不安な気持ちを抱いたまま、友梨は皆とともにカシオペアに乗って東京へ向かった。
その車中、友梨の不安が的中してしまう。まず耕平が爆死した。耕平は福島県内の倉庫に監禁されていたらしい。それを発見したのは友梨の婚約者のキョウジ。キョウジは耕平を助け出そうとしたのだが、耕平の体には爆弾が仕掛けてあった。
それが爆発し耕平は死亡し、巻き添えを食ったキョウジも意識不明の重体で病院に運ばれた。さらにカシオペアの車内では、内鍵のかかった個室で真理こと星崎綺羅が毒を飲んで息絶えた。さらに清香も別の個室で殺されていた。そして清香の首にはJのペンダントがかけられていた。
清香はシリアルキラ―Jに殺されたのだ。それと前後して友梨の肉体にキョウジが憑依した。どういう理屈かはわからないが、キョウジが友梨の肉体に共存を始めたのだった。

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