闇匣

超一流企業の岡部音響に勤める関口勉は、社長の娘の杏奈と婚約した。父親であり社長でもある杏奈の父親に正式に会うために、地方にある関口邸に向い、翌日の会見に備えて関口家が用意してくれた邸の近くのホテルにチェックインした。
部屋で休んでいると、やがて婚約者の杏奈がやって来た。勉と杏奈は少し話をし、勉はシャワーを浴びるために浴室に入った。その直後に部屋の中から杏奈の悲鳴が聞こえた。慌てて部屋に戻った勉だったが、すでに杏奈の姿はなく、勉も何者かに襲われて意識を失った。
勉が気づいたのは襲われてからどれくらいたってからだろうか?そこは真っ暗な空間で、手足はロープで椅子に縛り付けられていた。縛めは固く、手を少し動かしても痛いほどであったが、何よりもその空間がわずかな明かりもない真の闇であることが恐怖心を煽った。
暫くしてドアのようなものが開く音がし、さらに人の足音のようなものが徐々に近づいてきた。それはやはり人間で、「気づいたようだね」と耳元で声を発した。幼なじみの龍一であった。
小学校時代からいつも勉の後を金魚の糞のようにくっついて歩き、主体性のまったくない男、それが龍一であった。勉は心の底から龍一を軽蔑し、馬鹿にしきっていた。大学は別で、その間にはまったく交流がなかったが、なんと龍一も岡部音響に入社してきた。勉の同期であったが、今は岡部音響を辞めていた。その龍一がなんで勉を誘拐し、監禁したのか?龍一の口から語られたのは…
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