占い師はお昼寝中

怠け者でものぐさで、一日中寝てばかりいるぐうたらな叔父は、渋谷でインチキ占いを始めた。それを手伝う姪の美衣子とともに2人は、奇妙な事件の解決を依頼される。
三度狐
辰寅のインチキ占い所に現われたのはエリートサラリーマン。妻と幼い女の子の3人暮らしで、つい先頃社宅からニュータウンの一戸建てに引っ越したばかり。
妻は2人目の子供を妊娠して胎教に夢中、本人も次期課長の候補にあげられており仕事、仕事の毎日でストレスも溜まっていそうだった。
引っ越したばかりの最初の週末も接待ゴルフが入っていたが、1番アイアンが行方不明になったという。前日の夜に見たときは確かにあったが、プレイを始めるとないことに気付いたという。
それを機に会社では前日に机の上に置いたはずの書類が朝来てみるとなくなっていたり、枕元において寝たはずのビジネス書3冊が朝になると消えていたり、そんなことが続くので相談に来たというのだが…

水溶霊
いかにもキャリアウーマンというプライドが高く、物にも動じない女性が今回の辰寅の客。夫と2人だけで暮らしているが、夫は現在失業中で彼女の稼ぎで食べているという。その彼女の相談とはポルタガイスト。
最初は仕事で留守をした時だった。帰ってみると彼女の化粧品が全て蓋をあけられて、中身を振り撒かれていたというのだ。空巣かとも思ったが、そのほかには被害がなく夫と相談して警察には届けないことにした。
2回目は彼女が出張中のこと。帰ってみると食器が全て出されてキッチンの床にきれいに並べられていたうえ、テーブルには椅子が乗り、さらにその上に炊飯器が置かれていたり、床にはソースや醤油が撒かれていたり。気の強い彼女もさすがに気味が悪くなって辰寅のもとを訪れたらしい。

写りたがりの幽霊
大学生のその客は、見るからに軽薄そうなぼーっとした男だった。その男が取り出したのは3枚の写真。1枚目は男が3人が並んでいて一番端の男(今日の客)の膝のところから誰かの手が出ている。肘から先の部分だ。
2枚目の写真は2人の男が夜の神社の階段に座っている。そのうちの一人(今日の客)の左肩のところに白いモワモワとした顔が浮かんでいた。
3枚目の写真は松の木の手前に立つ一人の男(今日の客)で、これも夜。男の背後にある松の木の枝先に人間の顔がはっきりと写っていた。
いずれもサークルの合宿で撮ったもので、客の男は心霊写真だという。男の客本人は心霊写真など信じていないようだったが、友人から写真を渡され、サークルのメンバーにこういうことをすごく気にする子がいて占い師のところにでも行ってきたらといわれ訪ねてきたというのだが…

ゆきだるまロンド
もうすぐクリスマスという寒い日に松兼スミ子と名乗る主婦が訪ねてきた。下町に住み家族はメシ、フロ、ネルの夫と大学生の娘、高校生の息子の4人暮らしで、くったくのない中年の典型的なオバサンである。
スミ子の口から出たのはドッペルゲンガー。自分がもう一人いるというのだ。道端であった顔見知りの主婦に「旅行に行って来たんですって」と言われたのが、ドッペルゲンガーを感じたきっかけだった。
スミ子は何年も旅行になど行ったことはないのである。次がスミ子が手袋を忘れたという電話。電話の相手は天銀堂という銀座の高級宝石店。そこで買い物をしたはずのスミ子が手袋を忘れたというのだ。
ところがスミ子の生活には天銀堂などという高級店はおろか宝石店などには一切縁がない。そして最後は町内会の会長夫人。来年1月半ばの婦人会の旅行をスミ子自身がキャンセルしたというのだ。
いったいどうなっているのか…もう一人のスミ子が旅行に行き、宝石店で買い物をして手袋を忘れ、婦人会の旅行を勝手にキャンセルしたのだ。
これをドッペルゲンガーと言わずして何というのか、というのがスミ子の話であった。

占い師は外出中
辰寅が知り合いの葬儀のために珍しく外出し、その間留守番がてら部屋の掃除を始めた姪の美衣子だったが、そんなときに限ってフリの客が来た。
客は初老の男の2人連れで、一人は江戸っ子、もう一人は卵型の顔をした少しボケた男。江戸っ子が言うには卵形の男の家に血塗れの幽霊が出るという。
その幽霊はまず卵形の男自身が血塗られた赤ん坊を目撃、次には妻が座敷に座っている血塗れになった義理の祖を見、娘が丹羽の松の木で首を括って血塗れになっている男を発見した。
江戸っ子はこれらのことを説明し、占い師と勘違いして美衣子を徐霊のために、卵形の男の住いへ連れ去ろうとするのだが…

壁抜け大入道
ランドセル片手に占い所に入ってきたのは、小学6年生の男の子。台風の余波で風が強かった数日前に、道端にいた大入道が突然立ち上がり、男の子の父親が勤める小さな町工場の壁を通り抜けたと言った。
そしてその小さな町工場では、その夜金庫に仕舞われたはずの200万円が消えてしまった…


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