猫丸先輩の空論

猫に似た目つき、雰囲気、動きの猫丸先輩が日常の中に起きる不思議を解き明かす。
水のそとの何か
ウォーターのペットボトルがポツンと置かれていた。部屋は2階建ての1階で、ベランダは路地に面し、路地もほとんど人通りがない。
翌日、今度は日本茶のペットボトルが同じように置かれていた。前日のミネラルウォーターにボトルは封を切っていなかったが、この日のボトルは中身は水に入れ替えられていた。
その翌日はアップルジュースのもので、やはり中身は水に入れ替えられ、そのまた翌日はレモンジュースのボトルに水を詰めたものがあった。
さすがに気味が悪くなった美里は、担当編集者の八木沢に会ったついでに相談したが、そこに猫丸先輩が現れて…

とむらい自動車
編集者の八木沢が生活道路で交通事故に遭った。その事故現場を見に来た同級生だった大西。そこに一台の迎車のタクシーが来て「鈴木さん」かと聞く。大西が違うというと、鈴木さんからこの場所に呼ばれたという。
運転手は会社に問い合わせたりしていたが、あきらめて帰った。そこに八木沢や大西の先輩である猫丸が来た。2人で事故のことなど話していると、また迎車のタクシーが来て、鈴木さんかと問う。
さらに次々とタクシーがやって来て、皆鈴木さんから呼ばれたという。現場の狭い道路はタクシーが集まって混乱の極みで…

子ねこを救え
里村真美と植松幸太は猫婆さんの家から子猫を1匹盗もうとしていた。猫婆さんの家には4匹の子猫がいて、そこを通学路にしている真美は毎日のように子猫を見て通っていたのだが、そのうちの一匹が不当に差別されているのだという。
その子猫は他の3匹が鈴をつけてもらっているのに付けてもらえず、虐待されたらしく怪我もしているというのだ。猫好きの真美はこのままでは、その猫が殺されてしまうと幼馴染の幸太を誘い猫救出作戦と銘うって猫を盗もうとしたのだった。
首尾よく猫婆さんの家の塀の外に猫を誘い出して捕まえたまではよかったが、そこを通りかかった猫丸に見つけられてしまった…

な、なつのこ
全日本スイカ割り愛好会東京西地区支部主催のスイカ割り大会が、千葉の小さなあまり人に知られていない海水浴場で、行われることになった。
大会は午後からだが後藤田支部長と新会員になった新井は、朝からテントを張り中にスイカを運び込んで大張り切り。テントは町内会のを借りてきたから本格的なもので、入り口にも幕を下ろして外からは中が見えない。
テントは階段状の防波堤の残骸を囲んで建て、後藤田支部長は面白がって祭壇のような防波堤にスイカを並べて置いた。そして2人は買出しに行ったのだが、戻ってみるとスイカの半分がコンクリートの上に落ち割れていた。
何者かに防波堤から故意に落とされたとしか思われなかった。一体誰が…と悩んでいるところに猫丸が登場し…

魚か肉か食い物
米森早苗には重大な秘密があった。大食いなのだ。ピザ、すし、焼肉、カレー、チャーハン、ラーメン、餃子等々何でも大量に食べた。
東京で学生生活を送るようになってから、早苗は飲食店に大食いにチャレンジては賞金を稼いでいた。食べること以外は、むしろ引っ込み思案な早苗は一人で挑戦できず、いつも友人の吉川明日香が付き添っていた。
そんなある日、早苗は5キロのステーキに挑戦するためにステーキハウスに入った。もちろん明日香も一緒である。
ところが5キロのステーキが運ばれ、フォークとナイフが並べられた瞬間、早苗はいきなり席を立ち店から逃げてしまった。いったい早苗に何が起きたのだろうか?呆然とする明日香に、店に来ていた猫丸が声をかけてきた…

夜の猫丸
深夜の出版社の編集部で残業をする猫丸の後輩八木沢。仕事をしているとかすかに遠くで電話のベルの音がする。社長室であった。こんな時間に誰が?と思っていると十数回でベルはやんだ。
次に総務の部屋の電話が鳴り、やはり十数回で切れた。その次は営業部。そして編集部の電話が鳴った。八木沢が仕方なく出ると、その瞬間に電話が切れた。
暫くすると再び社長室の電話がかすかに聞こえた。やはり十数回で切れた。次に総務、営業そして編集とさっきと同じことが繰り返され、八木沢が出ると唐突に切れた。
無気味に思っていると今度は携帯電話が鳴る。出てみると大学の同級生だった貴子で、飲む誘いだった。そして貴子は途中から猫丸先輩に電話を代った。八木沢はやたらはしゃぎまくる猫丸、今の電話の話をした。すると猫丸先輩は一転真剣な口調になって…


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