猫丸先輩の推測

猫に似た目つき、雰囲気、動きの猫丸先輩が日常の中に起きる不思議を解き明かす。
夜届く
しがないサラリーマン八木沢のもとに、ある夜電報が配達された。定文電報というやつで「病気、至急連絡されたし」とあり、差出人の記載はなかった。心当たりをあたったが誰も該当者はなく、気持ち悪さだけが残った。
数日後の夜にまた電報が届く。今度のは火事であった。その何日か後には浸水。さらに家倒壊。さすがに気味が悪くなってNTTに行くが、差出人が住所氏名秘匿を希望しているので誰から送られたかは教えられないという。
そんな折、八木沢の部屋の風呂が壊れて銭湯に行く羽目になった。そこで体を洗っていると、近くのおじさんたちの会話から、おじさんの1人の家に不吉な差出人不明の電報が届くという。八木沢とそのおじさんは見えない敵に共闘を組むことになったが…

桜の森の七分咲きの下
弱小アパレルメーカに就職し、入社2日目に総務課長に呼ばれた小谷雄次。車に乗せられて連れて行かれたのは荒鷲薬師如来真言寺裏公園で、隠れた桜の名所だった。
新入社員の初仕事として命じられたのは、ここでの花見の場所取り。一人で夕方まで見晴らしのいい小山の上の一等地を確保するのが役目だった。
そんな退屈なことを命じられた小谷のもとに、場所を横取りしようとするサラリーマンや酔っ払ったおじさん、さらに絵描きなどが次々やってきて小谷の邪魔をする。その都度追い払い、ほっとしていると今度は猫丸と名乗る男がやって来た…

失踪当時の肉球は
行方不明になったペットを捜すのが専門の探偵郷原は、依頼のあった平田家へやって来た。平田家のヒノマルという雄猫が行方不明だという。ヒノマルという名の通り、白い額の中央に丸い黒い部分がある特徴的な顔だった。
依頼を受けた郷原は猫用のトラップを仕掛け、周囲を捜索し、ヒノマルの写真をポスターにして貼って歩く。ところがポスターのヒノマルの写真が全て黒いスプレーで塗りつぶされていた。誰が何の目的でこんなことを…

たわしと真夏とスパイ
都下のある私鉄駅の南側に広がる南町商店街は50年間地元に密着した商店街として商売をしていた。それが駅の北側に大型スーパーができて以来、客足は大きく減ってしまい、相次ぐイベントも効果がなかった。
この年の夏、起死回生の策として露天商組合とタイアップして商店街の中央に露天商の屋台を並べ、夕涼みの縁日気分を作り上げて集客をアップし、商店街の売出しと組合わせて売上を上げるという作戦に出た。
木曜から土曜の4日間大売出しは予定され、初日は目立ったトラブルはなかったが、2日目の午後になってトラブルが多発した。
金魚すくいのプールに入浴剤が投げ込まれ、射的屋のコルクが油まみれにされ、風船屋の風船の糸が切られて飛ばされた。商店街の連中は北側のスーパーの妨害工作と騒ぎ出したが…

カラスの動物園
休日の動物園に一人でやって来た長尾葉月は、園内でこれも一人で来ていた猫丸と知り合う。2人が閉園近くになって話をしていると、男が猛スピードで走ってきて2人のほうに物を投げつけて去っていった。その物とは女性のハンドバックと財布。
2人がそれを見てきょとんとしていると警備員がやって来て、さっきの男はひったくりだという。葉月と猫丸も警備員と一緒に男を追いかけ、ヒグマの檻の前で追いついた。
ところが捕まった男は開き直って人違いだという。そうこうするうちに、ひったくりの被害者もやって来て財布を調べると5万円ほどの現金が抜かれていた。ところが捕まった男の身体検査をすると、現金は出てこなかった。

クリスマスの猫丸
雑誌編集者の八木沢はクリスマスの日に喫茶店で猫丸と待ち合わせをする。待っている間に外を見ていると目の前をサンタクロースの衣装を着けた人間が全速力で駆け抜けていった。
道行く人たちも皆そのサンタを見ている。5分ほどして先ほどと同じようにサンタクロースが全速力で駆け抜けた。さらにその5分後には、またサンタクロースが全速力で…


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