大きな森の小さな密室

犯人当て、倒叙、日常の謎、バカミスなどミステリ7ジャンルの連作集。
大きな森の小さな密室
犯人当て
山奥にある蓮井錬治の別荘にようやくたどり着いた沢口幸子は、そこで何人かの人物に会う。蓮井から借金をしている岩井順子、同じく山田秀人、近くの村人で蓮井とパソコンの相談をしに来た岡崎徳三郎、教師の緑川令子、それに俳優の穴倉忠則という面々だ。
幸子は会社の用事で来たのだが、話を聞くと騙されるためにやって来た鴨らしかった。話を聞くと岡崎以外は、蓮井のことを快く思っておらず、憎んでさえいたようだし、岡崎も蓮井のことはケチでどうしようもない男だと考えているようだった。
そして事件が起きた。午前中いっぱい穴倉との応接があり、その後1時まで蓮井の昼食タイムになった。皆は所在無く、付近を散歩したりして過ごす。そして午後一番、蓮井が部屋で殺されているのが見つかった。
腹が切り裂かれて腸が引き出された上、喉をナイフで深々と刺されており、どう見ても自殺ではなかった。死体は部屋のドアに寄りかかって重しの役をしており、そとからは簡単に開かなかった。つまり現場は密室だったのだ。

氷橋
倒叙もの
次期編集長の椅子が約束された乙田三郎太は、愛人関係にある推理作家二ノ宮里香美の殺害を計画する。妻が会社の重役の娘で資産家の乙田にとって、もう二ノ宮は邪魔な存在でしかなったのだ。
ホテルの一室で二ノ宮に睡眠薬を盛り、裸にして湯を張ったバスタブに運び込んだ。そして持ってきた長方形の氷の柱を4本、寒剤を使って繋ぎ合わせて氷の棒にする。それをバスタブの縁に橋のように架け、その上にスイッチを入れたドライヤーを置いた。
実験では約30分ほどで橋が落ち、二ノ宮は感電死するはずだった。乙田はその間、会社に戻ってアリバイを作った。乙田の予想通り、会社にいるときに二ノ宮は死んだ。しかし変な弁護士が乙田にまとわりついてきた…

自らの伝言
安楽椅子探偵もの
コンビニのバイトをしている睦月早苗の親友長柄宮菜穂子の恋人秋葉猛士は、ある研究所で水との対話を研究していた。それだけでもかなり怪しい人物だが、最近使い捨て携帯電話の販売を始めたと言い、菜穂子もその携帯を所持していた。
早苗の同僚新藤礼都は、その話を聞いて形態販売は詐欺だし、猛士の研究もデタラメだと菜穂子を詰った。そんなある日、突然猛士と連絡をとれなくなったと菜穂子が駆け込んできた。電話もメールも通じないし、猛士からの連絡も一切ないという。
そこで早苗は猛士の研究所に菜穂子を向かわせた。3時間後、菜穂子が真っ青な顔で戻って来た。猛士は別棟になった研究所の中で殺されていたのだった。パニックになる菜穂子と早苗を見て、礼都がせせら笑った。馬鹿には我慢がならないと…

更新世の殺人
バカミス
遺跡の発掘現場で女性の遺体が見つかった。首には絞殺の痕跡があり、あきらかに殺人によるものだった。だが問題は死体の150万年前プラスマイナス5万年という死亡推定時刻だった。現場の地層や遺体が旧石器時代の遺跡の下から見つかったことから、その推定に間違いないというのだ。

正直者の逆説
車も入れない山奥にある金盥の別荘に集まったのは、金盥の友人の丸鋸とその助手のわたし、金盥の甥と姪、それにタクシー運転手の平平の5人。もっとも平平は吹雪の途中まで4人を乗せてきて、にっちもさっちもいかなくなって一行とともに別荘に転がり込んだのだ。
そして別荘には執事の綾小路と医者の梅安がいた。実は丸鋸とわたしは金盥から事件の捜査を頼まれたのだった。その事件とは、金盥が砒素を飲ませれて殺されようとしているというものだった。そのことは医者の梅安も感づいていた。
金盥は遺産の関係から甥と姪が犯人だと疑っているのだが証拠がなく、甥も姪ももちろん否定した。そしてその夜、金盥は部屋で毒殺されてしまった。誰かが金盥の紅茶に毒を混入したらしい。

遺体の代弁者
SFミステリ
ゴーストマンションの屋上から落下して死んだ男女。その女性烏丸燐子の海馬を男に移植して、燐子が落下する直前の記憶を語らせて犯人を特定しようと手術が行われた。手術は成功し、燐子の記憶から犯人は一緒に落下した男有村隆弘らしいとわかったのだが…

路上に放置されたパン屑の研究
日常の謎
田村二吉の部屋を訪ねてきた徳さんと名乗る一人の老人。徳さん曰く、ここは探偵事務所のはずだというのだが、二吉にその記憶はない。が、徳さんは強引に謎を提示し答えを求めてきた。
その謎とは、道端の17か所に何日かおきに親指大ぐらいのパン屑が落ちているというのだ。1か所くらいなら気にならないが、定期的に同じ場所にパン屑が落ちているのはなぜだろう、気になってしかたがないというものだった。


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