「アリス・ミラー城」殺人事件

日本海に浮ぶ孤島江利ヵ島は、かつての所有者白角が木材伐採を目論んだが突然事業を中止し、同じ年に島内にアリス・ミラー城を建て始めた。
ルイス・キャロルの物語にちなんだアリス・ミラー城は混沌と呼ぶに相応しい支離滅裂ぶりで、古城と聖堂をひとつの箱の中に押し込めて無理やり圧縮したような建物だった。
江利ヵ島の現在の所有者はルディという英国人と日本人のクオーターの女性の叔父で、ルディは友人と数年前から日本で暮らしていた。
そのルディから探偵たちがアリス・ミラー城に集められた。探偵たちはある者は謎のため、ある者は金のため、ある者は依頼を受けて島に集まってきた。
島の中には白角が木材伐採の為に持ち込んだ機材があちこちに錆付いたまま放置されていた。そして動物や鳥の住む気配もなく、降り出した雪が積もり始めていた。
アリス・ミラー城の一室には多くのゲームが用意されていたが、そこにチェス盤がひとつ置かれていた。盤上には城の駒が10個、無造作ともいえる形で置かれていたが、探偵たちの中にはクリスティやヴァン・ダインの有名作品を連想する者もいて、ひとしきり話が交わされた。
やがて、それが冗談ではすまなくなった。探偵たちが次々に殺され始めたのだ。ある者は密室の中で顔を酸で焼かれ、ある者は合わせ鏡の部屋で殺されて、その場を目撃した他の探偵の前で犯人は消失した。
殺されたあとで死体をバラバラにされた者もいた。探偵が一人命を失うたびにチェス盤からは駒が一つずつなくなっていった。そして残った者たちは疑心悪鬼を生じて…
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