新本格もどき

記憶喪失で入院中の吉田、リハビリを兼ねての外出で向うカレーハウス牧場でマスターと推理談義、それに付き添う看護師の上岡エリの3人が数々の事件に挑んだり巻き込まれたり…
三、四、五角館の殺人
女流作家南井くるみ、覆面作家氷取川晶、サラリーマン兼業作家石黒研幸の3人は同期デビューで、そろってその年の新人賞を逃した間柄だった。2年後、竜王出版の企画で、それぞれが岩手、秋田、青森県内にある三角館、四角館、五画館に籠って、その館にまつわるミステリーを有料のメルマガに毎朝配信する競作企画が行われた。
その初日、3人の作品はそれぞれ配信されたが、南井くるみが三角館で殺されているのが発見された。三角館にはくるみのほか出版社が雇った鳥羽翔子というアルバイトの女性がいただけ。翔子は被害者のくるみが息絶える寸前「おおたか」と言いかけたというが…

二、三の悲劇
アイドルタレントの桜川美弓の死体が、マンションの自室で発見された。包丁で喉が切りさかれていて、現場の部屋は玄関も窓も施錠されていた。玄関の鍵は外側から掛けられただけだが、鍵は室内で発見された。
桜川美弓は用心深い性格で、合鍵は一切作らせず、マネージャーすら持っていなかった。その日、朝からの仕事が入っており、マネージャーが迎えに来たのだが応答がなく、管理人のマスターキーで玄関を開けたところ、美弓の死体が転がっていた。
現場は密室ということになるが、死体の位置などの状況からは他殺の可能性が高かった。しかも美弓は妊娠していたというし、犯人との間で交換日記もしていらしい…

人形は密室で推理する
人気の腹話術師チャック武司が、自宅のウォークインクローゼットの中で背中をナイフで刺されて殺された。ウォークインクローゼットは3畳ほどの広さで、チャックは普段その中で人形との対話をしていたという。
人形との対話とは、チャックは自身の中に自分と人形という2つの人格を持っていた。その多重人格を直すために催眠療法士が定期的に診察に来ており、殺された日も催眠療法師と妻がいた。
診察が終わり、チャックはクローゼットの中に入ったが、いつまでたっても出てこず、外から声をかけるとクローゼットの両開きの引き戸は動かなかった。中から掛け金が掛けられ、しかも隙間には目張りまでされていたのだ。
その戸を強引に開けたところ、背中を刺されたチャックの死体が転がっていた。窓があったが、そこも錠が掛けられ引き戸と同様に内部から目張りがなされていたのだった。

長い、白い家の殺人
上岡エリの姉姿子は、緑川羅門主宰の劇団でスタイリストをしていた。その劇団で上演している推理劇を見に行ったエリと吉田とカレーショップ牧場のマスター。劇が終わったて緑川も加わって4人で話していると、姉からの携帯が架かって来た。
姉は「タスケテ、ウシ、ノマ」と息絶え絶えに話した。この劇場の楽屋は細長い一直線の廊下に沿って、片側に干支の名のついた楽屋がずらっと並んでいて、丑の部屋に姉はいたのだ。姉は楽屋の中で何かの中毒に苦しんでいた。
救急車を呼び姉を運び出そうとすると、今度は火事。後で聞くと火事は楽屋を半焼し、主演女優の湯浅アユが楽屋で、アユと主演を争った財部洋子が給湯室で焼け死んでいた。しかも火事は給湯室からアユの楽屋である午の部屋までまかれたガソリンによっておこされた作為的なものだった。

雨降り山荘の殺人
エリの姉姿子がミスコンで優勝した地の雨降りの里。そこのレストランにおばあさんがやってきてサラダを注文するのだが、手を付けずにがっかりして帰っていくという。この日常の謎を姿子がエリに話し、エリが吉田に話し、結局エリ、吉田、牧場のマスターの3人は雨降りの里へ。
そこで出会ったのは自称ミステリウォッチャー名園清詩郎。吉田と妙に意気投合した名園だったが、新聞の切り抜きがぎっしり入った手帳を忘れていった。その手帳を見ると…

13人目の看護師
気が付いたら私の側に吉田が倒れていた。そばに転がっていた拳銃で撃たれたようだ。ここは病院の院長室で、中には私と吉田だけ。吉田は死にぎわに自分の血でダイイングメッセージを残していた。それはPIG IS PINK D、そして私の着ているのはショッキングピンクのナース服だった。

双頭の小悪魔
エリのもとに雨降りの里にある山荘のオーナーが捜査の依頼に来た。露影村の怪しげな宗教団体に連れ去られた娘を救出してほしいというのだ。ちょうどそこに別の用事で行く予定だった牧場のマスターも乗り気になった。ところが露影村には女しか入れないという。そこで吉田は一計を案じて自分も潜入することにした。


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