長く短い呪文

櫻藍女子学院高校ミステリイ研究会に所属する1年生須藤まみは、転校してきたうえに精神的な病気で1学期を休学したために、夏休みには補修を受けることになった。
補修に備えてまみが所属するミステリ研究会の先輩である御薗ミリアと相川ユカ、それに特別顧問の石崎幸二がまみに付き合っていたが、ある日まみが突然硫黄島に行きたいと言い出した。
よく聞いてみると硫黄島とは鹿児島県にある薩摩硫黄島のこと。まみの唯一の親友の岐城美希が置手紙を残して実家のある岐城島に帰ってしまったというのだ。
岐城島は美希の実家である岐城家の人間しか住んでおらず、当主で美希の祖母の真沙子、美希の母親の貴子、美希の双子の妹の真希と亜希、それに使用人たちがいるだけであった。
岐城島は薩摩硫黄島の近くにある島で、岐城はこの地方では有数の資産家であった。古くからのしきたりで一家は島から出ずに暮らすのが原則で、美希も高校に入る前は岐城島で母親の貴子から教育を受けてきた。
貴子は教員免許を持っており、岐城家が鹿児島市内の私立学校に莫大な寄付をしたから、このような扱いができたらしいが、さすがに高校生にもなるとそうもいかず、寮のある櫻藍女子学院高校に入学させたらしい。そして同じような境遇のまみと知り合って親友になったのだった。

その美希の置手紙には、「自分には呪いがかかっているし、姉も呪いで死んだとしか思えない。妹たちにも呪いがかかっている可能性もあるので、それらを確かめたい。呪いがかかっていなければ戻るが、たぶん無理だろう」という内容だった。
美希の姉は由希といって、やはり櫻藍女子学院高校に入学したが、入学直後に交通事故にあって死んでいた。
まみは美希のことを心配するあまり岐城島に渡って美希を呪いから解放したいと思ったのだ。話を聞いた石崎とミリア、それにユカの3人はまみを補修に専念させ、自分たちで岐城島に向った。
ちょうど台風が接近しており、なんとか岐城島までは辿り着いたが、島に閉じ込められてしまう。3人は大きな屋敷に住む岐城一族に表面上は歓待され、双子の真希と亜紀の相手をして過ごす。
美希は心配そうだが、とても呪いがかかった一家とは思えなかった。だが事件が起きた。真希と亜紀の人形の腕がハサミで切り取られていたのだ。それを見て泣き叫ぶ真希と亜希。
さらに美希の人形の胸に今度は包丁が突き刺してあった。今まで平和そうに見えた岐城だったが、外では台風が荒れ狂い、いよいよ呪いの館の雰囲気になってきた。

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