人魚とミノタウロス

暑い夏のある日、新宿を当てもなく歩いていた氷川透は、突然背中をたたかれふり向いた。そこには高校時代の友人生田舜の顔があった。生田は医学部に進学し、大学時代はほとんど音信が普通だったが、今は調布厚生病院で精神科医をしているという。
ほとんど成り行きで、氷川は生田を病院に訪ねることになった。約束の時間に病院に着いたが、なんと病院の一角から煙が上がり、駆けつけた消防車が放水をしているではないか。
聞いてみると火災の原因は人間が燃えたからだった。そしてその燃えた人間は、生田だというのだ。病院の東病棟にある第三面接室の中で、生田は生きながら焼かれたというのだった。間違いなく殺人事件だった。
警察の捜査が進むにつれて、いくつかのことがわかった。その日、生田は第四面接室で患者と面談をする予定だったが、急遽第三面接室に変更になったこと。
生田が11時30分までは生きており、消防絵の通報が11時46分だから、その15分ほどの間に何者かにより生田は自由を奪われ、火をつけて焼き殺されたこと。
事件の直前に男子トイレから黒ずくめの福とサングラスの男が出てきて、第三面接室に入ったこと、そしてその人物が着ていたと思われる黒い服とサングラスが焼却炉から発見されたこと等々。
さらに火をつけたという患者が現れたり、若い女性の臨床心理士にストーカー行為をしている看護士がいたり、無断外出した男になりたい女子高校生がいたりと、不審人物にはことかかなかった。
そんな状況の中、捜査を進めていく警察と氷川だったが、肝心の被害者が本当に生田なのかという疑問まで浮上してきた。そんな捜査陣をあざ笑うように第二の焼殺事件が起きた。
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