密室ロジック

株式会社ジョイットの開発部と営業部は、そのビルの16階にあった。16階にあるのは、ほかにトイレと給湯室、それに3つの会議室だけ。
午後7時から、ジョイットと某パソコンメーカーの親睦を兼ねた飲み会が実施される予定であったが、開発部でトラブルが発生し、開始時刻が1時間延期された。
そこで控室として第2会議室が開放され、出席者が続々と集まって懇談していた。やがて廊下で喧嘩が起り、第2会議室からはぞろぞろと人が出て行ってしまう。
その時点で第2会議室に残ったのは営業部長の千束勇ただひとり。20分ほどして、千束は第2会議室で死体となって発見された。死因は延長コードを利用した絞殺であった。
千束が第2回会議室で1人になってから死体となって発見されるまで会議出の前にある廊下にはすべて人がいた。会議室のドアを出て右側には、入れ替わり立ち替わり立ち話をしたり、携帯を受けたり、独りで考え事をしたりと、常に複数または単独で人がいた。
一方、会議室のドアを出て左側には人はいなかったが、その廊下はすぐに突き当たり左右に分かれる。左右に別れた後の右側には3〜4人がいた。もともと2人の人間がそこで喧嘩を始めたのだ。
第2会議室から人がいなくなる原因を作った喧嘩である。仲裁が入ったりして、常に複数の人がいたのである。左右に分かれた後の左側には、庶務担当の開発部員が廊下の蛍光灯を交換していたし、そこは非常階段に通じるためにカメラが設置してあった。
そのカメラは非常階段からの侵入を防ぐためのもので、非常階段方向からの人影に反応して録画を行うものだった。つまり第2会議室は複数の人間と1台のカメラに囲まれており、犯人の出入りが不可能であっだのだ。

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