密室は眠れないパズル

第8回鮎川哲也賞最終候補作に残った「眠れない夜のために」を改稿改題した作品。
金曜日の夜、都心に建つ東都出版ビルが舞台。6階建てのビルは10時を過ぎると正面玄関が閉じられ、出入りは裏口からとなる。元警官の守衛もいて、守衛の許可がなければ出入りは出来ない。
夜12時少し前、ビル内にいるのは6階の常務室に大橋常務、5階の第一編集部に部員の津田啓子とブックデザイナーの水城由佳、そして新日本印刷の営業マン南和夫、4階の第二編集部に部員の小宮山徹志と推理作家志望の氷川透、学生アルバイトの上野賢一郎、2階の営業部に次長の岡本健三と部員の川上省一、それに守衛の金子清広の10人だった。
12時を10分ほど過ぎた頃、2階の廊下で悲鳴が上がった。岡本次長が胸にナイフを刺されて倒れていたのだ。2階の営業部室から川上が駆けつける。
さらに悲鳴を聞きつけた氷川と上野も階段を2階に駆け下りた。岡本は虫の息であったが、3人は岡本の「大橋常務に刺された」という言葉を確かに聞いた。

救急車を呼ぶために電話がかけられたが電話は通じなかった。何者かが電話線を切ったのだ。守衛に連絡したが、暫くして守衛からドアが開かないとの連絡が入る。
唯一の出入口である裏口が外側からロックされ、ビル内の人間は外に出られなくなってしまったのだ。このビルは2階までの全ての窓には盗難防止のため鉄格子がはまり、3回以上の窓は開くが、とても飛び降りられる高さではなかった。
また開く窓はほかのオフィスビルに面していて、ほかのビルも既に無人、つまり外部への連絡が全く出来なくなってしまったのだ。
殺人者の大橋常務とともにビルに閉じ込められてしまったかに思われたのだが、ここで今度は5階から悲鳴が上がる。5階に停まったエレベーターの中に殺人者と名指しされた大橋常務が血まみれになって死んでいた。
エレベータの中は血の海で、壁にも大量の血が飛び散り、さらに凶器は付近に見当たらなかった。5階にいた津田と水城がエレベータで下りようとしてボタンを押し、ドアが開くと死体があったという。
岡本を殺した大橋が、さらに何者かに殺された。しかも閉ざされたビルの中で…犯人は閉じ込められた8人のうちの1人なのか…
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