密室に向かって撃て!

関東地方の、とある県にある架空の町烏賊川市。そこの海岸に突き出た鳥ノ岬には、地元で食品会社を経営する十乗寺家の屋敷があった。
フリーターの戸村流平は海岸で十乗寺家の娘さくらと十乗寺家当主で、十乗寺食品会長の十乗寺十三と知り合った。戸村流平が名探偵鵜飼杜夫の助手と知ると、後日十三は鵜飼にさくらの花婿候補三人の身辺調査を依頼してきた。
謎の大事件が好きな鵜飼は調査には乗り気ではなかったが、金のために引き受けざるを得ず、調査を完了して流平とともに鳥ノ岬の十乗寺家にその結果を届けにいく。
屋敷にはさくらの花婿候補三人とさくらの両親、それに使用人の佐野夫妻がいた。十三は鵜飼と流平を別室に呼んで調査を受取り、その結果に満足し2人を歓待をする。
深夜に鵜飼と流平は酔いつぶれて寝込んでしまい、結局十乗寺に泊まることになった。その夜、庭で銃声がして流平は目覚めた。すると隣りで鵜飼が足を拳銃で撃たれのたうち回っていた。

屋敷中の人間が起き出し、十三は庭に白ずくめの怪しい人影を見たと喚く。使用人棟にいた佐野も怪しい人影を見たといい、人影を追って岬の突端に建つ飛魚亭に人影を追いかけていった。
飛魚亭は小屋に近い建物で、本邸の庭から階段で上がるようになっており、階段を上がりきったところが門であった。階段の周囲は崖で、飛魚邸に行くには階段を上るしか方法がなかった。
屋敷の人々は本邸から佐野の姿を見てハラハラしているが、やがて佐野が飛魚亭に近づくと、銃声が2発聞こえた。佐野はそれにもめげることなく階段を上り、飛魚亭に入っていった。
やがて飛魚亭の中から1発の銃声が聞こえた。皆が恐る恐る行ってみると、飛魚亭の中ではさくらの花婿候補の一人神崎隆二が胸を拳銃で撃たれて死んでいて、佐野も左腕を拳銃で撃たれていた。
だが、彼らを撃ったはずの犯人の姿は飛魚亭の中には見当たらなかった。唯一の出入り口である階段は多くの人目に晒されていたし、飛魚亭のほかの面は断崖絶壁で海に落ち込んでいる。
神崎を射殺し、佐野に怪我をさせた犯人はどこに消えたのだろうか…
警察の調べで事件に使われた拳銃が、飛魚亭の植え込みに投げ捨てられているのが発見された。この拳銃は改造拳銃で、2ヶ月ほど前に市内の工員を逮捕に行った際に、警官の不手際で行方がわからなくなったものであった。
その銃は、市内の淋しい海岸でのホームレス射殺事件に使われたのがわかっているが、ホームレス殺しの容疑者もそして拳銃も見つかっておらず、今回またまた十乗寺家の事件で使われた。
不手際を起こした警察は事件解決と犯人逮捕にやっきになるが…
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