見えない精霊

北インドのジャングルの中にあるシャーマンの村の最後の切り札は大シャーマンだった。大シャーマンはジャングル全体に結界を張り、悪霊の動きを封じていた。その力は絶大で、シャーマンたちに手のつけようがなかった精霊の怒りも大シャーマンだけは鎮めることができた。だから森の全てのシャーマンたちは、大シャーマンを敬い畏怖していた。
ある事件があって日本人の少女が大シャーマンに救われた。それが話題となり、日本のマスコミがこのジャングルに押し掛けて来たが、シャーマンたちは村にマスコミが入るのを断固として拒絶した。
なかでも大シャーマンは絶対に姿を見せず、しかも写真を撮られると死んでしまうというのだった。それでも無理に村に侵入しようとしたマスコミがいたが、彼らはことごとく村人に見つかり腕をへし折られた。
そんなわけでマスコミは急速にジャングルからいなくなったが、そこに現れたのはウィザードという男であった。ウィザードは不可能な写真を撮ることに使命を感じる人物だった。
ウィザードは3人の屈強な仲間とともに飛行船でシャーマンの村に向った。そこで長老に仲間の一人が病気になったので診てもらいたいと偽って潜入に成功し、しかも大シャーマンの撮影にも成功した。
だがその撮影で大シャーマンは本当に死んでしまった。ウィザードたちは怒ったシャーマンたちに監禁され、数日後の満月の夜に精霊に殺されると告げられた。一方のウィザードは捕えられ監禁されることは織り込み済みで、言葉巧みに条件を出した。
その条件とは、殺されるのは飛行船の中で、立会人の村人たちの前で殺すことだった。ウィザードは精霊ならそれができるはずだと、挑発した。結局それが実行されることになりウィザードたち4人と立会の村人5人、それに精霊を召喚する美しい少女の10人が飛行船に乗り込み宙に浮かんだ。
飛行船のゴンドラの中は特殊な作りであったが、そこで次々に殺人が起きた。最初の殺人は、全員の目の前に突然精霊が現れてひとりを殺し、そのまま消失してしまった。第二の殺人は密室状態の中、さらに第三の殺人は5人の村人に見張られた中での殺人だった。
ウィザードは理論的にトリックを暴いていったが、それが間違いであったことが次々に明らかになり、3人は精霊によって殺されたとしか思えない状況となってしまった
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