赤い夢の迷宮

小学校3年の夏休み、ぼくはゴッチこと鈴木孝、ユーレイこと結城玲二、Cちゃんこと森田紫伊、ウガッコこと鵜飼明、ココアこと稲山心亜、魔女こと黒田令の仲間たちと三角山のOGの別荘、通称お化け屋敷に行った。
OGとは大柳源蔵のことで、ぼくの住む地方都市を牛耳る大柳一族の人間であったが、ぼくたちの両親くらいの年齢のはずなのにやたらにふけていることから、大柳の爺さんを略してOGと呼んでいた。
ぼくたち7人はOGのところで、いつも一緒に遊んでいる仲間で、当時小学5年から3年まで、いずれも同じ学校に通っていた。実はOGは大柳一族からも厄介者扱いされていたし、先生や親もOGと接触することは禁止していた。
だがぼくたち7人はOGが好きだったし、OGもぼくたちには何でも教えてくれた。はっきりいって親たちが禁止していることは何でもできたのだ。それは時として残酷なことや気味の悪いことであったが、ぼくたちにとってはある意味楽しい時間だった。
さてその日なぜぼくたちはお化け屋敷に行ったかというと、宝物を隠すためだった。誰かがタイムカプセルをやろうと提案し、各自一番の宝を持って集まったのだ。そして最も発見されにくいところとして、三角山のお化け屋敷に行くことになったのだ。
その別荘は全く交通不便なところにあった。山の麓で自転車を乗り捨て、さらに山の中を1時間ほど歩き、吊り橋で川を渡ったところにそれはあった。門には鍵がかかっていたが、壁に破れ目から何とか中に入った。
だがぼくたちは別荘の地下室でとんでもないものを見た。十数匹に及ぶ猫のバラバラになった死体で、すでに腐敗したそれには虫がびっしりとたかっていた。ぼくたちは腰を抜かし、我先に逃げ帰った。
それから25年、ぼくたち7人はまた集まることになった。OGから招待状が来たのだ。OGはその後、ひょんなことから大柳財閥の総帥になっていた。ぼくたち7人は、それぞれの道を歩み、結婚したもの、平凡な生活を送るもの、離婚して生活が荒れている者とうとうさまざまだった。
そしてココアだけは欠席だった。聞けばひきこもりがひどく、とても人前に出れる状況でもないようだった。集まった6人はOGに睡眠薬を盛られ、気が付いたらお化け屋敷に運ばれていた。おりしも台風が直撃しそうな日のことであった。
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