ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!

第36回メフィスト賞受賞作品。
新聞に連載小説を載せている私のところに、ある日一通の速達郵便が届いた。差出人は香坂誠一としてあったが、住所はなかった。その手紙には、究極のミステリのトリックといわれる「読者が犯人」というアイディアを持っていると書かれていた。
そしてこのアイディアを売りたいのだという。そんな素晴らしいアイディアがあるのなら、自分で書けばよさそうなものだが、そうできない理由として2つ書かれていた。
ひとつは余裕がない、それは時間的にも経済的にも心理的にもないということだった。もうひとつは文章など書いたことがなく、他人に読ませるようなものを書けないということだった。次に連絡するまでじっくりと考えておいてくれと、手紙は結ばれていた。次の手紙が来るまで私は心理学者の古瀬博士を訪問したり、友人の有馬と会ったりして過ごす。古瀬博士は実際は超能力の研究にのめり込み、大学当局に超能力研究の予算を認めさせようとしていた。
その売り込みの為に、超能力者たちを研究室で実験して、その様子をテレビ局に取材させることにしていた。その実験に私は立ち会ったのだ。
一方、有馬には香坂からの手紙を見せて感想を聞きがてら相談した。有馬は香坂の手紙を一笑に付した。詐欺だというのだ。
そして香坂からの二通目の手紙が届いた。今度は普通郵便だった。香坂は「読者が犯人」というアイディアに対して1億円を要求した。ただしアイディアをどう加工しようが自由で、アイディア発見の栄誉も求めないという。
香坂はその手紙のほかに、自身のことを知ってもらうためと称して、覚書なるものを同封していた。その覚書は香坂の幼年時代の物語風のものであった…
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