びっくり館の殺人

永沢三知也が古書店で偶然に手に取った「迷路館の殺人」、そしてその中に記された謎の建築家中村青司。
三知也は、中村青司をキーワードにしてインターネットで検索すると、「中村青司の館と殺人」というサイトにヒットした。そのサイトの中にはびっくり館の名があった。
びっくり館こそは三知也が十年半前に奇妙な殺人事件に遭遇した館であった。神戸市に隣接するA**市のお屋敷町六花町の片隅にびっくり館はあった。
屋敷中にびっくり箱のような仕掛けがいっぱいあるからとか、びっくり幽霊が出没するからとか館の名の由来については噂があった。数年前に館で殺人があったらしいという気味の悪い噂もあった。
そのころ家庭の事情で両親が別居し、父親についてA**市に引っ越してきた小学六年生の三知也にとって、この噂は気になる噂であった。何度かびっくり館の近くまで行ったが、館はいつもひっそりとしていた。
そんなある日、三知也は勇気を出してびっくり館の庭に入り込んだ。そこには朽ち掛けたブランコがあり、それに乗ろうとすると声をかけられた。それがびっくり館に住む少年との出会いであった。
古屋敷俊生、それが声を掛けた少年の名であった。びっくり館には俊生が、その祖父古屋敷龍平と2人きりで住んでいた。俊生は三知也と同い年であったが、体が弱くて学年は5年生であった。

龍平から体が弱いことを理由に外出を禁止されて、友達のいなかった。そんな俊生と三知也はすぐに友達になった。だが俊生の体が弱いために、つねに三知也がびっくり館に遊びに行き、2人で過ごせるのも短い時間だった。
会えるのもそんなに多くなく、電話をしても龍平が出て体調が悪いことを理由に訪問を拒否することも多かった。それでも俊生は三知也と会っている時は嬉しそうだったし、三知也も俊生と会うのが楽しみでった。
びっくり館の中にリリカの部屋という名の部屋があった。その部屋は俊生の姉であった梨里香の部屋で、数年前の殺人事件で殺されたのは梨里香であった。
龍平は梨里香の思い出に、梨里香そっくりの人形をリリカの部屋の窓際においていた。その人形は腹話術人形で、それを使って龍平はときどき下手な腹話術をして、梨里香の思い出に浸っているらしい。
さらにリリカの部屋の壁一面には駅のコインロッカーのような引出しが28個、それも七色に塗り分けられて作られていた。その一つ一つがびっくり箱になっていて、扉を開くと猫やねずみや人間の手首などが飛び出した。
その不思議な部屋、リリカの部屋で龍平老人が殺されていた。背中にはナイフが刺さり、部屋は内側から鍵が掛けれた密室状態で、老人の傍らには腹話術人形が放り出されていた。
老人は腹話術をやろうとしていて、何者かに殺されたらしかった…
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