どんどん橋、落ちた

犯人当てミステリ5篇を集めた中短篇集で、そのうち4篇に読者への挑戦が挿入されているが、いずれも一筋縄では行かない作品ばかり。
どんどん橋、落ちた
山深い、とある場所。深い谷底にはどんどん川が流れ、そこには壊れかけた吊橋があり、どんどん橋と呼ばれている。どんどん橋の先は岩棚があるばかりで、その先はがけ崩れのためにどこにも行けなかった。
キャンプに来た4人組のうちの1人、まだ小学生の悪童ユキトが、いたずら心を起こしてどんどん橋を渡ってしまったが、直後に橋はロープ1本だけを残して完全に崩れてしまい、ユキトは岩棚に取り残された。
周囲は崖で、どんどん川からも崖の上からも、いかなる手段でもユキトのいる岩棚に到達できなかった。谷の幅も20mあった。泣き叫ぶユキトの声にキャンプに来ていたユキトの兄が気づき、応援を呼びにいった。
そして、その40分後、ユキトの叫び声が…ユキトは何ものかに崖から突き落とされたのだった。誰がどうやって突き落としたのだろうか…

ぼうぼう森、燃えた
ぼうぼう森といわれる森に住む野犬の群れ。この群れは人間との共存を図るために、人間には歯向かってはいけないという掟があった。
現在の群れのボスはロス、ほかにロスの双子の弟エラリイ、妹アガサ、弟ルルウ、元一匹犬で群れに加わったカー、ロスの息子のタケマル、その妹のマヤ、エラリイとアガサの娘アリス、新しく着たばかりのレイトというのが群れの面々。
群れでは最近ボスのロスが年齢のせいで弱ってきて、ボスの交代が囁かれ始めていた。その日も森のあちこちでその話題が犬語で話されていた。
その時に森に火事が起きた。火勢は強く群れはちりぢりになった。火事が治まり森から3頭の犬の死骸が見つかった。1頭はエラリイで、これは火事で焼け死んだ。もう1ルルウで、これは人間が掘った落とし穴にはまって怪我をし、動けない状態で火に巻かれた。
そしてボスのロス。だがロスの死は火事によるものではなく、火事の騒ぎの中で喉笛を食いちぎられたものだった。ロスの喉笛を食いちぎったのは…

フェラーリは見ていた
八ヶ岳の麓で生活する葛西源三郎氏は、犬、猫、亀など多くの動物を飼って暮らしていた。その中の猿のシンちゃんがある夜、殺された。目出し帽を被せられて、ピッケルで刺し殺されたのだ。
シンちゃんがいたのは、敷地内にある離れの一室で、源三郎氏はシンちゃんに専用の部屋を与え、長いリードをつけて飼っていた。
その夜、源三郎氏の住居には甲府に住む娘夫婦と近所の牧場主鈴木氏、源三郎氏の幼馴染で元村会議員の佐藤氏が集まって麻雀に興じていた。
シンちゃんが殺されたのは麻雀の最中で、源三郎氏を除く4人のうち必ず1人はゲームから抜けている時があった。シンちゃんを殺したのは…

伊園家の崩壊
どこにでもある普通の平和な家庭であった伊園家。伊園常が突然狂気に駆られて街中で包丁を振り回し、3人の人間を殺害して自殺した。それ以来、伊園家は崩壊に向って坂を転がり始める。
事件のショックで常の夫民平は酒におぼれ、ギャンブルに狂って巨額の借金を背負ったあげく野垂れ死んだ。娘の笹枝は覚醒剤に溺れ、その夫松夫は浮気に走り、松夫と笹枝の子の樽夫はいじめられっ子となった。
さらに笹枝の弟和男は不良少年と変り、妹の若菜は交通事故で車椅子で生活していた。その崩壊した伊園家で今度は笹枝が死んだ。
笹枝の喉笛を掻き切られた死体は二階で見つかり、部屋の中は荒らされていた。凶器はなく当時家には笹枝のほかには若菜だけがいた。
若菜は誰も家に出入りしたものはないと証言、自身も車椅子の為に二階には上がれず犯人足りえない。唯一の残るのは二階の窓で、ここは開いていたが、笹枝が殺された前後は隣の主婦がベランダで油絵を描いていて誰も窓からは出入りしていないと証言。
笹枝が死んだ現場は密室となってしまった。しかも家族には若菜を除いてアリバイがあり、アリバイのない若菜も殺人は実行できない。笹枝の死はいったいどうやってもたらされたのか…

意外な犯人
推理作家アヤツジユキト脚本による犯人当てミステリドラマのビデオ。出演はアシスタント・ディレクタ−、シナリオ・ライター、ディレクター、探偵役、アヤツジユキトの5人。
テレビ局内の打ち合わせ場面から始まり、次に停電が起き、シナリオライターが首を絞められて殺される。パニックになるが脚本家に犯人を聞くのが一番とアヤツジを探すとアヤツジユキトも絞殺されていた。
もちろんビデオドラマの中でのことで実際はアヤツジユキト役の俳優が殺されるのであるが、ビデオはここで止められる。さて2人を殺したのは…


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