人形館の殺人

飛龍想一は病気が癒えて、育ての母池尾沙和子と一緒に、静岡から京都北白川にある想一の父高洋の住んでいた人形館に越してきた。
想一の母実和子は、想一が幼い時に列車の転覆事故で亡くなり、高洋は男手一人で想一を育てることが出来ず、実和子の妹で子供のなかった沙和子夫婦に想一を預けた。
沙和子夫婦は想一を実子のように可愛がって育てた。想一の実父高洋は彫刻家であり画家であった。京都北白川の人形館を買い取って創作を行っていたが、庭の桜の木で首を吊って自殺した。
そのころ想一は長期の療養で入院をしていたが、父の死後8ヶ月ほどして人形館に移り住むことになったのだった。

人形館は平屋の日本建築と、棟続きの2階建ての洋館からなっていた。日本建築の方は飛龍家の住居で、沙和子も想一もこちら側に部屋を持つ。
洋館部分は緑影荘と名付けられ、アパートとして3人の住人が入っていた。住人の一人は想一の又従兄弟で小説家の辻井雪人、ほかの2人は大学院生の倉谷誠と盲目のマッサージ師木津川伸造であった。アパートの管理人として水尻道吉とキネの老夫婦も住んでいた。
そして人形館には高洋が遺した異形のマネキン人形がいくつか建っていた。それらは全て体の一部が欠落していた。気味が悪かったが、高洋の遺言で場所の移動は禁じられていた。
この人形館に移ってしばらくして、想一の周囲に奇妙なことが起きる。想一宛ての脅迫の手紙が来たし、マネキン人形の位置が違っていたり、郵便受けにガラスの破片が入っていて手を怪我したり、玄関先に石ころが置いてあったり、猫の死体が置かれていたり。
ひとつひとつはイタズラといえばそれまでだが、想一に対して何者かが忍び寄っているようでもあった。そしてついに事件が起きた…
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