水車館の殺人

十角館に続き、中村青司の建てた水車館で起こる1年前の事件と今年の事件。青司の館を追って乗り込む島田潔。山間の不思議な館での推理は…

岡山県の山間の谷間に建つ水車館と呼ばれる建物。巨大な3連の水車が目立ち、敷地は正方形。その敷地の四隅に立つ円形の棟とそれを結ぶ回廊、内側は大きな中庭となっている。
館の主は藤沼紀一、幻視者と言われた天才画家故藤沼一成の一人息子であった。紀一は絵の才能はなかったが、実業家として成功した。
だが10年程前に自身の運転ミスで交通事故に会い、手足と顔に大きな傷を負って事業から手を引き、自身で築いた財産と父一成から受け継いだ莫大な遺産で水車館を建て、そこに隠棲した。
紀一は事故の傷のために車椅子での生活を余儀なくされ、顔の傷を隠すためにゴム製の仮面を作らせて、人前に出るときには必ず仮面を着用していた。
水車館の住人は紀一のほか、その幼い妻由里絵(一成の弟子柴垣浩一郎の一人娘)、執事の倉本庄司、家政婦の根岸文江の4人であった。
そこに紀一の友人で、かつて一成に師事した正木慎吾が放浪の末、身を寄せる。正木は紀一の運転する車に同情していた時に事故に合い、一緒に乗っていた恋人を失い、事故の後遺症で自分も画業を断念せざるを得なくなった。
隠棲生活を送る紀一は極端に人を避けていたが、負い目のある正木の要求だけは入れざるを得なかった。

さて、水車館では年に一度、それも9月28日と決まっているが、その日に客を4人だけ招いて一成の絵を鑑賞する会を開く。メンバーは固定されており画商の大石、大学教授の森、外科医の三田村、僧職の古川の4人であった。
1985年9月28日、おりから台風の接近が近い中、大石ら4人の人間が次々に水車館を訪れたが、そこで事件が起きた。家政婦の根岸文江が塔から落ち、水車に巻き込まれて死亡したのだ。
事故か自殺か殺人かはわからず、警察へも連絡が取られたが土砂崩れのために水車館への道が閉ざされてしまう。
その夜、嵐の中古川の行方がわからなくなり、それを探しに出た正木も行方不明となる。そして朝方になって地下にある焼却炉の中でバラバラにされた正木の死体が燃やされていたのが見つかる。
発見時には、すでに死体はほとんど燃え尽きており、遺体の確認ができなかったが、炉の外にあった薬指からそれが正木の死体だと断定された。
薬指には高価の指輪がはまっており(指輪はかなりきつく、簡単に外せなかった)、それを犯人は奪うために指を切り取ったと考えられた。古川の行方は皆目わからず、正木を殺してその遺体を焼却し、そのまま逃走したと考えられた。
それから1年後、1986年9月28日の恒例の会合。古川を除く3人が集まった。そこに現れた島田潔と名乗る男。島田は中村青司の建てた水車館に興味を持ち、さらに古川の友人であり、そのために水車館を訪れた。
紀一もそんな島田をなんとなく古川の代わりに泊めることにした。その夜、再び水車館に事件が起きる。
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