十角館の殺人

綾辻行人のデビュー作であり、館シリーズの第一作。
異才の建築家中村青司が大分県S半島J崎沖5kmに浮ぶ角島に建てた青屋敷とその別館の十角館。青屋敷では中村青司夫妻と住込みの使用人夫婦の4人が焼死し、屋敷は全焼した。
検証の結果死体の死亡時刻には差があり、ほかにいたはずの庭師が行方不明になっていることから、庭師が中村夫妻と使用人夫婦を殺害し逃亡したものとされたが、事件は未解決であった。
その事件から1年後、島にK**大学の推理小説研究会の7人が渡り、焼け残った十角館で一週間過ごすことになった。研究会の面々は男5人と女2人で、それぞれ男はエラリィ、ルルゥ、カー、ヴァン、ポォ、女はアガサ、オルツィと海外の著名推理作家の名の愛称で呼ばれていた。
第二日目の朝から十角館で事件が起きた。ホールのテーブルに第一の被害者、第二の被害者、第三の被害者、第四の被害者、最後の被害者、探偵、殺人犯人と書かれたプラスチックのプレートが置いてあった。クリスティの「そして誰もいなくなった」風の演出であり、最初はいたずれと考えられた。
だがいたずらではなかった。翌日第一の被害者に選ばれたのはオルツィであった。部屋のベッドで絞殺されて息絶えていた。そしてオルツィの部屋のドアには第一の被害者と書かれたプレートが貼ってあった。
第二の被害者はカーであった。皆でコーヒーを飲んでいるときに、コーヒーに混入された毒で死んだのだ。次にルルゥが死に、アガサはルルゥとほぼ同じ頃に口紅に塗られた毒で死んだ。
残ったエラリィ、ヴァン、ポォの3人。3人のうちの1人が犯人とする説と外部からの侵入者説に意見が分かれた。外部からの侵入者とは中村青司であった。青司は1年前に焼死したはずであるが、死体は黒焦げで確認できず、庭師を身代わりにして青司は生きているという説にも充分説得力があった。
3人の意見は外部からの侵入者説に傾くが、その直後に5人目の被害者が出て…

中村青司は日本のあちこちに奇妙な館を建て、十角館の後もその館で奇妙な殺人事件が次々に起こる。この十角館の殺人事件はその幕開けの物語で、孤島に閉じ込められた7人の人間が一人づつ殺されていく、典型的な孤島ものの作品。そして、探偵役として中村青司の館を追う男は島田潔。
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