殺人方程式

サブタイトルは切断された死体の問題。
新興宗教「御玉神照命会」の新教主貴伝名剛三が、首と左腕を切り落とされた死体となって発見された。「御玉神照命会」では前教主で教団の創設者であった貴伝名光子が、電車に轢き殺されて死亡し(殺された後に線路に置かれた可能性も否定できず、捜査が続行されていた)、その後を夫であった剛三が継いで教主となっていた。
教主は就任すると教団本部の屋上にある神殿で90日間のお籠りをする決まりになっていた。剛三もお籠りに入ったが、女を引っ張り込むなど堕落した態度であった。
お籠りをしているはずの剛三が、密室状態の神殿から消え、死体は20mほどの川を挟んで対岸に建つ教団所有のマンションの屋上で見つかった。
屋上の血の量から惨劇の現場はここではないことは明らかだった。さらにマンションで警察の捜査が始まった直後、マンション2階の廊下で剛三の頭部が発見された。
このマンションは出入口が一箇所しかなく、しかもその出入口が見れる位置に、昨夜から警視庁公安部の張り込みが一晩中行なわれていた。
張り込みは別件の捜査で行われ、剛三の事件とは関係なかったが、偶然張り込みの刑事たちは剛三が殺され死体が運び入れられた時間の目撃者になっていた。
その間にマンションから出て行った車は2台で、うち1台が数時間後に戻ってきた。そのほかには出入りした車も人もなし。そしてその一台に乗っていたのは、剛三と光子のただ一人の子供光彦であった。
光彦は剛三とは血の繋がりがなく、剛三を憎んでいた。さらに光彦の車の中から、死体切断に使った鋸や包丁が見つかり、さらに左腕も出てくるに及んで光彦は逮捕された。光彦は頑強に犯行を否認するのだが…

被害者はいかにして密室から出て行ったのか、被害者の死体はいかにして密室状態の建物に運び込まれたのか、被害者の頭部と左腕はなぜ切断されたのか…明日香井叶刑事とその双子の兄明日香井響が事件に挑む。
新本格らしい大胆なトリック、とくに頭部切断の理由は秀逸で、犯人も意外。
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