赤死病の館の殺人

表題作の中篇「赤死病の館の殺人」ほか3篇で、いずれも森江春策もの。
赤死病の館の殺人
弁護士であり名探偵ある森江春策の助手新島ともかが雨の夜迷い込んだのは、ジグザグに部屋が連なる不思議な屋敷。聞けば引退したコシミズ光学会長、小清水龍磨が住んでいるという。
龍磨は病気で寝たきりになっており、余命幾ばくもない状態で、その夜は龍磨の孫娘小清水沙耶が心配して見ないがてら訪ねてくることになっていた。
屋敷に入った時に沙耶に間違われたともかだったが、間違いがわかった後で沙耶の厚意で屋敷に泊まることになったともか。ジグザグに連なる部屋は白、黄、赤、黒、青、緑、紫の各色で塗られ、調度や家具も部屋と同じ色であった。
部屋同士はドアに隔てられただけで間には廊下などはないため白の部屋から紫の部屋に達するまではほかの全ての色のの部屋を通る必要があった。
白の部屋には龍磨が臥せっており、ともかに与えられたのは青の部屋、沙耶は緑の部屋だった。深夜、青の部屋でともかが目覚めると目の前を黒衣の怪人物が通り、隣りの緑の部屋に入っていった。
ともかがその後を追っていくと怪人物は紫の部屋に入り、さらにそこの外部に通じるドアから屋敷の外に出て行ってしまう。ともかが後を追おうとすると、何者かに襲われ気絶してしまう。
やがて青の部屋で再び気がついたともか。だがそのときには黒の部屋で屋敷の管理人溝呂木繁が顔を滅茶苦茶に切られて殺され、沙耶と龍磨の姿が消えていた…

疾駆するジョーカー
貸別荘の中央にあるホールで寝ずの番をする大学生二宮良太。ホールの真中に椅子を置いて、ホールの回りにある各室の出入りを夜中見張るのだ。
だが夜中になって二宮の位置から左前にある弁護士の津村の部屋からジョーカーの衣装を着た怪人物が飛び出してきて、その向かいの物置部屋に入っていった。
驚いた二宮が怪人を追って物置部屋に入ろうとすると後頭部をしたたか殴られて気絶してしまう。二宮が気がついたとき、周囲は警察官で満たされていた。津村がナイフで刺し殺されていたのだった。
しかもそのナイフは二宮の手に握られていた。犯人は二宮に濡れ衣を着せようとしたらしいが…

深津警部の不吉な赴任
田舎の警察署に赴任してきたエリートの深津警部。警察では署をあげて歓迎するが、その裏で2つの事件が起きた。
1つは管内の施設から男性患者がいなくなった事件で、男性患者は白紙の人格を持っていて、接した他人の人格にすぐに影響されてしまうという特異な症例の男だった。
もう1つの事件は警部が警察署に入ってから急報されたもので、谷底で男の死体が発見されたというものだった。深津警部は赴任早々初仕事だと張り切って現場に向かうが…

密室の鬼
大学教授錦浦文吾博士はその性格と行動から、多くの人から恨まれていた。その博士のところに命を奪うとの脅迫状が届く。警察は身辺を警護しようとするが、博士は拒否。しかし、警察も手を引くわけにも行かず、博士の自宅の正面にある喫茶店ととなりに建つマンションに刑事を配置し、博士の自宅の出入りを監視する。
大学から戻った博士は、マンションの管理人をしている義弟の出迎えを受けて自宅に入るが、すぐに義弟が出てきた。そのとき部屋の中にいる博士の姿が喫茶店で監視する刑事に確認できた。
ところが暫くして博士は自室で腹をナイフで抉られた死体となって見つかった。鍵は外からかかり、さらに刑事に見張られているという、施錠と監視の二重の密室での殺人事件であった。


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