グラン・ギニョール城

ヨーロッパの山中にある古城アンデルナット城に招待されたのは、アマチュアの名探偵レジナルド・ナイジャルソープをはじめ、パリの美術評論家ロベール・ランジュラン、ウィーンの好古家ホッホマイヤー博士、英国の元軍人フィリアス・ブレイス大佐の4人。
城はもともとはドワイド・ロートヴィング男爵が城主であった。ところが男爵の男の子供が城内で行方不明になったあげくに殺され、男爵が長年信頼してきた秘書の青年が容疑者とされた。
青年は無実を訴えたが逮捕が避け得ないと知ると城から逃亡し、青年は欠席裁判で死刑を宣告されてしまう。子供を殺され秘書に裏切られた男爵は、やがて失意のうちに心痛から死去してしまった。
城主がいなくなったアンデルナット城を、たまたまこの地に観光に来たアメリカの養鶏王シド・ソーンビルが金にあかせて城を買い取り、果てはフロリダの自分の土地に城を移築することにした。
その城の現地からのお別れ会に招待されたのがナイジャルソープたちで、城ではシドと息子のビル、姪のアメリアが迎えた。さらにスタンリー・マローワンという建築技師とハリントン弁護士、謎の美女リリアン・エルシュタインも城に来ていた。
城では晩餐会が開かれたが、皆何らかの秘密や事情を抱えているようで、ナイジャルソープには事件が起る予感がした。ナイジェルソープがもつ城の雰囲気は、パリの惨劇専門の劇場グラン・ギニョールのそれで、城の名もグラン・ギニョール城というのが相応しかった。そして夜には嵐が古城を襲った。
嵐の夜、城内の塔の部屋からシド・ソーンビルが墜落死した。事件は麓の村に知らされたが、嵐の為に村とグラン・ギニョール城との間の交通は途絶、電話線も切れて城は陸の孤島となってしまった。

一方、現代の日本。関空から南海の空港連絡特急ラピートの車中の人となった森江春策は、終点に着く直前の車内で一人の男の死に遭遇する。
フラフラと車内を歩いていた男が、森江の近くで倒れ苦しみだしたのだ。助け起した森江に男は「グラン・ギニョール城の謎を解いて」とダイイングメッセージを残した。
そして男の手にはエラリー・クイーンがかつて編集していた幻の雑誌「ミステリ・リーグ」が握られていた。そのミステリリーグには特命作家の本格作品「グラン・ギニョール城」の前編が掲載されていた。
森江はミステリ・リーグとグラン・ギニョール城を手掛かりに事件の捜査を始め、戦前に日本のミステリ愛好家が自費で翻訳出版した「グラン・ギニョール城」の存在を知った。
そしてラピート車内で死んだ男のことを調べに、大阪市内のレトロビルの一室を訪れた森江だったが、そこに電話が架かってきた。思わず受話器を取ってしまう森江。電話の相手は受話器を取った人間を確かめもせず「グラン・ギニョール城へ来たれ」と告げた…

島田荘司と新本格作家のメインページにもどる
Mystery Collection Mainへもどる


Last modified -