和時計の館の殺人

愛知県××町日計にある天知家本邸で、当主の天知圭二郎の遺言が公開された。遺言の公開は本来顧問弁護士の九鬼麟一が行うのだが、どうしても都合が合わず、九鬼から頼まれた森江春策が行うことになった。
圭二郎は事業は姉と姉婿に任せ、自分は趣味で集めた和時計に囲まれて、それを修理したりして過ごし、将来は本邸を和時計の博物館にする計画を秘めていた。
そのために本邸には多くの和時計が集められ、その全ては実際に時を刻んでいたし、庭にはこの地方のランドマーク的な塔時計が建てられていた。その塔時計も当然の如く和時計であった。
遺言状では事業の全てを姉と姉婿に譲り、和時計と本邸は××町に寄付され、和時計博物館にすることとなっていた。ほかのいくつかの不動産と現金が、圭二郎の甥や姪に残され、それは森江春策からみても公平かつ妥当な遺言であった。
遺言の公開が終れば大阪に戻る予定であった森江春策だったが、遺言公開の時間が遅れたことや予想外に公開が手間取ったことから、最終バスに乗り遅れてしまい、天知本邸に泊まることになった。

その夜11時、森江春策は与えられた部屋から外を見ていると、本邸の離れでナイフを持った人間が、人を襲っているシルエットを目撃し、大急ぎで離れに向った。
本邸でも離れの様子がおかしいのに気づき人が駆けつけていたが、離れは庭に面した戸は内側も本邸からの出入口も、内側から施錠されていた。
本邸側の戸を蹴破って入ってみると、そこにはナイフを刺された圭二郎の姉婿の死体が横たわっていた。殺された直後であった。
現場は密室で、殺された時間もわかっているが、その時間には皆にアリバイがあった。行くところ事件ありのジンクスに、森江春策も事件に首を突っ込むことに…だが事件はそれだけではなく、天知家の主治医も自分の診療所でナイフで刺し殺されているのが見つかった。どうも天知家の事件と同じナイフで殺されたらしい…
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