怪人対名探偵

三谷駿少年が怪人に誘拐されたが、数日後に無事発見された。誘拐であったことは間違いないが、犯人には最初から危害を加えたり身代金を要求したりする意図はなかったようだ。
ただ少年は一つ目の無気味な姿の怪人に捕われ、行けども行けども脱出できない真っ暗な不思議な建物に監禁され、発見されたときにはかなり衰弱していた。
これを皮切りに駿少年の親戚達、村下と三谷の一族が不思議な不幸に見舞われた。ある者は乗っていたバイクに細工をされて交通事故に会い、ある者は夜道で切りつけられ、ある者は電車内で病巣を注射された。
ほとんどの者は大怪我ですんだが、唯一人電車内で癌の病巣を注射された駿少年の祖父だけは、癌で死去した。そのころには怪人は自ら殺人喜劇王と名乗った。殺人喜劇王とは昔の少年探偵小説で名探偵を向こうに回し悪事を働く怪人だった。

村下と三谷の一族を一通り襲った殺人喜劇王は、次に稲賀一族に対して牙を向けた。稲賀一族の中心に座るのは稲賀剛士という男で、天下の大通ギガントという会社の副部長だった。
会社でも私生活でも傲岸不遜であり、自分が一番偉くほかの者を露骨に見下す人物で、会社でも私生活でも嫌われていた。
まず襲われたのは剛士の愛人丘村志麻だった。志麻は何者かに連れ去られ行方不明になった。次に剛士の妹克枝が経営する地下スナックに閉じ込められたうえ、水を大量に流し込まれ水死。
弟の敦史は大学の時計塔の針に磔にされ、敦史の娘亜紀は気球による縊死、敦史の妻栄子は体を切り刻まれる姿をビデオで中継されてというように、いずれも猟奇的な死を与えられた。
これら事件の背景にあるのは当然復讐であった。稲賀剛士が昔かかわった放火事件にその因があるらしい。殺人喜劇王は剛士本人への復讐では飽き足らず、親族全てに復讐することを決めたらしい。
ただし姻戚である村下と三谷一族には軽く、稲賀一族には死を持って…

村下玲美も殺人喜劇王に襲われた一人であった。夜道で顔を切りつけられて、その傷が生涯残るほどの怪我をしたのだ。玲美は憂さを晴らすために友人に誘われてコスチューム・パーティに行く。
その広い会場で殺人喜劇王から囁きを受けて、それをきっかけに恐怖心が増し、探偵森江春策のところに相談に行く。ところが今度は春策が殺人喜劇王に誘拐されてしまう。
春策が気がついたのはハヤブサ丸という船の中だった。そこで殺人喜劇王と対面した春策は…

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