不思議の国のアリバイ

特撮映画「大怪獣ザラス・復活編」の製作は、快調な滑り出しを見せたかに思われたが、映画業界のゴロ熱川一朗が宗教団体がスポンサーとなった別の映画にスタッフやキャストを大量に引き抜いしまった。
プロデューサー光岡潤子はそれにもめげず、残ったスタッフの中から若い遠野聖滋を監督に据えて、製作を続行した。遅れていた撮影がやっと軌道に乗り始めた頃に事件が持ち上がった。
最初の事件は青蓮院文彦という、業界で乗っ取り屋と評判の男が「大怪獣ザラス・復活編」の製作乗っ取りを画策し始めたことだった。
この乗っ取りに対し、スタッフは反対派と賛成派に二分されるが、光岡は断固として青蓮院の関与を拒否することに決めた。
その矢先に第二の事件が起きた。尼崎のマンションで熱川一朗の死体が発見されたのだった。熱川は絞殺され、死体の顔は死後にガスレンジで顔を念入りに焼かれていた。
熱川の部屋からはキャッシュカードが持ち出され、その日のうちに銀行からほぼ預金の全額の300万円が引き出されていた。
警察は銀行の防犯ビデオに写った映像と動機の面から、「大怪獣ザラス・復活編」の監督遠野聖滋が怪しいと睨み、アリバイもなかったことから遠野の逮捕に踏み切った。

光岡は遠野の無実を信じて、スタッフの一人の伝を頼って弁護士森江春策のもとを訪れ、事件の解決を依頼する。
森江はさっそく活動を開始するが、今度は九州福岡の甘木市の山林の中から青蓮院文彦の遺体が見つかった。死後数日を経ていて、唯一つの手がかりは甘木を含む、この地方の手書きの地図が書かれたメモ用紙であった。
さらに福岡空港の駐車場から熱川の車が見つかった。青蓮院の死は熱川の死と関連があると睨む森江は青蓮院の事務所のある東京に向った。

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