ロシア紅茶の謎

英都大学助教授火村英生とその親友の推理作家アリスこと有栖川有栖が探偵役となる短篇集で、国名シリーズの最初を飾る。
動物園の暗号
大阪の動物園の猿山から夜間飼育係の太田善治の死体が見つかった。猿山の前で撲殺され、猿山の中に投げ込まれたものと考えられた。
そして、その右手には暗号が書かれた紙がしっかりと握られていた。鶴、牛、鰐、鷹、鶴、鹿、鯉、牛…と続き、一部の字は丸や三角で囲まれ、鳥や魚などの文字もあるしワニとカタカナで書かれたものや竜の字もあった。
その夜園内にいたのは太田のほかに夜間飼育係の中糸、白鳥、乾と獣医の緒方、それに特別に許可を得た動物の物まねをやる芸人アニマル岡田の5名。
同僚によると岡田はパズル好きで、よく自作のパズルを見せていたそうだ。太田が持っていた暗号も、死ぬ前の休息時間に皆に見せて自慢していたと言う。火村とアリスは暗号が犯人を示していると考えて…

屋根裏の散歩者
木造モルタルアパートの家主五藤甚一老人が、アパートの自室で殺された。アパートは平屋で全8室、うち2室は五藤が使い、残り6室のうち5室が塞がっていた。
犯行当時1人は故郷に帰っていたので4人が容疑者だった。なぜ4人に容疑がかかったかというと、五藤は毎夜天井裏に入り住人達を覗き見する趣味があり、その様子を天井裏に隠した日記に書いていた。
その日記によれば住人達はそれぞれ、大、太、く、I、トという一文字を宛てられて呼ばれていた。そのうち大が最近連続して発生した婦女暴行殺人事件の犯人と記述されていた。
変態的な犯人は殺した女から髪の毛を切って持ち去っていたのだが、その髪の毛を夜な夜な部屋の中で愛撫していたと言うのである。では大とは誰のことかと言うと、これが隠語的でさっぱりわからない。
警察から助けを求められた火村とアリスは…

赤い稲妻
雷雨の夜、京都のマンションのベランダから女が一人墜落死した。モデルをやっているアメリカ人で、田宮という弁護士がその女性のパトロンで、マンションも田宮が買い与えたものだった。
その様子を向かいのマンションのベランダから目撃していた男がいた。その男によると女が飛び降りる寸前に、ベランダにもう一人の人影が見えたという。
男が驚いて警察や消防に連絡してベランダに戻ってみると、もう一つの人影は消えていた。しかしモデルの部屋は内側からチェーン錠がかかっていて、もし他殺とすれば密室殺人事件になってしまう。
そのころ現場から車で30分ほどの踏切で、脱輪した車が列車と衝突、乗っていた女性が死んだ。その女性は田宮弁護士の妻。田宮はわずか40分ほどの間に妻と愛人を両方失ったことになるが…

ルーンの導き
ドイツ人のウルリッヒ・フローゼ氏とアンベルティーネ夫人、フランス人のアンナ・レネ女史、イギリス人で英都大学に勤めるジョージ・ウルフ教授、翻訳家の辻佐治、中国系アメリカ人のサイモン・リーの国籍の違う6人がウルフ教授の京都の家に集まっていた。
リー氏の来日に合わせて集まったのだったが、リー氏は飛行機の遅れから時差ぼけが酷く、挨拶もそこそこに二階で一休みしていた。そしてそのまま帰らぬ人となっていた。
リー氏の手には4枚のルーン文字の書かれた石が握り締められていた。近くにあった袋に入っていたルーン文字の書かれた石から、4枚だけが取られていたのだった。占いに使うルーン文字の石の持つ意味とは…

ロシア紅茶の謎
新進作詞家奥村丈二が自身の家で開いた忘年会の席で何者かに殺された。死因は毒殺で、飲んだロシア紅茶のカップに青酸が混入されていた。ロシア紅茶は丈二の妹真澄が入れ、それをモデルの早苗が配ったが、どこにも毒を入れる機会はなかった。
忘年会の出席者は真澄、早苗のほかには3人だけ。いったい誰が、いつ、丈二の紅茶のカップに毒を入れたのだろうか…

八角形の罠
尼崎アルカディアホール・オクトは文字通り八角形をしたホールで、その完成記念の杮落とし公演に、アリス作の推理劇が上演されることになった。その稽古の日、アリスと火村が見守る前で殺人事件が起きた。
劇団内のトラブルメーカの男優西尾祐司が、首に注射器で毒物を注入されて死んだのだ。犯行は練習室で行なわれ、練習室には劇団の男女優や演出家、舞台監督などがいたが、犯人は配電盤にタイマーを仕掛け、停電させてから素早く練習室で犯行に及んだようだ。
だがどこを捜し、身体検査をしても凶器の注射器は見つからなかった…


島田荘司と新本格作家のメインページにもどる
Mystery Collection Mainへもどる


Last modified -