海の仮面

剣道3段で大会でも注目を浴びてきた短大生栗村夏樹は、地元の祖師ヶ谷警察で警察官に交じって剣道の稽古をし、その関係で刑事たちとも親しく、いくつかの難事件の解決にも大きな貢献をしてきた。
その夏樹の母で、調布の総合病院で婦長をしている幹子が交通事故にあって病院に担ぎ込まれた。事故にあったのは都下東久留米市で、目撃者によると事故というより意図的にはねられたらしく、幹子をはねた車はそのまま逃げ去っていた。
幹子は意識がなく、命に別状はないが、回復するかどうかはわからない状態だった。しかしわからないのは、なぜ幹子が東久留米などにいたかということだった。その日は夜勤という嘘までついて家を出ていた。
戸惑う夏樹は警察から布川保という男を紹介される。布川は幹子の愛人で、東久留米に住んでいるというのだ。布川に会いに来る途中で、はねられたらしい。突然の展開に動揺を隠せない夏樹だが、それからしばらくして布川から幹子の所持品だというビデオテープを渡された。
ビデオテープに写っていたのは、どこかの海上の夜の風景で、クルーザーに2人の男が乗っていた。会話からコーゾーという男がクルーザーの持ち主で、タミオという人物がカメラを回しているらしい。タミオはロシアの沈没船の宝を探す目的で、船主のコーゾーに船を出させたらしい。
やがて船が停まり、引いてきたボートにタミオが移り、撮影者はコーゾーに代わった。タミオはボートを漕いで沖合に向かったが、やがてそのボートが爆発を起こしてしまった。そこでテープは終わっていた。
一方その頃、祖師ヶ谷警察署管内で殺人事件が起きた。村中民男という男が殺されたのだが、調べてみると偽名で、戸籍が売買されたらしい。本物の村中民男は新潟の人物で、行方が分からなくなっていた。
その話を聞いた夏樹は、殺された村中民男は、テープに写っていたタミオではないかと推理した。なぜ幹子がそんなテープを持っていたのかはわからないが、布川によれば、夏樹が1歳の頃に死んだ父親に関係がありそうだという。
布川の言葉を簡単に信じたわけではないが、夏樹はテープの事件を調べるために新潟に向かった。そこで新日本新聞女性記者と知り合い、テープを見せてしまう。するとそのテープに写っているのが新潟東港と判明、さらにコーゾーというのが船宿を経営する人物であることを突き止めた。

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