人形はこたつで推理する

我孫子武丸のユーモア推理短篇集。腹話術師朝永嘉夫は二重人格者で、腹話術の人形鞠小路鞠夫というもう一つの人格を持っている。ノホホンとした嘉夫、頭脳明晰な名探偵鞠夫が一つの肉体に同居しているのだった。嘉夫の周辺で起きる不可思議な事件や難問も鞠夫の推理でたちまちのうちに解決されていく。
人形はこたつで推理する
幼稚園のクリスマス会で嘉夫が腹話術を披露。その翌日のこと園内で飼っているウサギの餌箱がひっくり返されているのが見つかった。
誰かのイタズラとも思われたが、その後ウサギが死んでいたり、死んだウサギを庭の片隅に埋めたところ、その死骸が掘り返されて腹を裂かれたり、さらにはウサギ小屋の鍵が壊されて誰かが小屋の中を掃除していたりとウサギ小屋周辺に不気味なことが立て続けに起きる。
腹話術師に見とれ、嘉夫に惚れてしまった保母妹尾睦月が、この不思議な事件を嘉夫と鞠夫に告げると…

人形はテントで推理する
カーニバルに出演することになった嘉夫と鞠夫。その会場は大テントの中で紙切りや水芸、マジック、影絵などの人達に混じって嘉夫も見事な芸を披露。
出番が終わってテント内の楽屋に入ったが、隣の部屋では先ほど出演したコミカルマジシャンが頭を何かで強打され絶命していた。
最後に目撃されてから、死体となって見つかるまで誰もその部屋には入っていないことが判明、最後の目撃者が容疑者となってしまう。
もっとも部屋といってもテント内のことで、外側はテントの布で、中側の仕切りは簡易間仕切りをボルトで止めただけの物。簡易間仕切りに飛びつけば倒れてしまほどだが、それが却って密室を強固にしていた。

人形は劇場で推理する
広告代理店社長児嶋政昭は数日おきに夢を見る。その夢はジークフリートという英雄に追いかけられ、ついには鋭く尖ったもので下腹部を刺されるという夢だった。
政昭は、この夢にうなされて精神科の医者に罹っていたし、夢の内容を克明に日記につけていた。その政昭が胸にペーパーナイフのようなものを刺されて殺され、その死体はゴミ捨て場に遺棄されていた。
警察では夢の内容や日記からワグナーのオペラ「ニーベルングの指輪」に事件のヒントがあるのではと睨んだが…

人形をなくした腹話術師
テレビ番組「名人登場」に出演することになった嘉夫と鞠夫。緊張しつつもトップバッターで無事に演じた嘉夫と鞠夫だったが、嘉夫が目を離した隙に鞠夫が楽屋から盗まれてしまう。
スタッフ総出で探し始めるが駐車場に体中を切りきざまれて鞠夫が遺棄されていた。嘆き悲しむ嘉夫に鞠夫は敵をとってくれと頼む…


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