探偵映画

フィルム・メーカーズ・ワークショップ、略称FMWは大物映画監督大柳登志蔵と、ずっと大柳と一緒にやって来た数人のスタッフにより設立された独立プロダクションであった。
その大柳の次回作は推理映画で、製作、監督、脚本を全て大柳本人がこなす。出演者も限られており、キャストも全て大柳があたった。映画は題して「探偵映画」
大柳の製作手法は、撮影に入る頃には全てのカットが大柳本人の頭の中にあるといわれていて、大柳の思い通りにスタッフや俳優をこき使った。まったくのワンマンであったのだ。しかし、その分無駄はなく効率はひじょうによかった。
「探偵映画」でもその手法は全く変らず、シナリオの全てを把握しているのは大柳本人のみであった。加えて、今回は推理映画の問題編にあたる部分しかスタッフや俳優に渡されていなかった。

「探偵映画」は、山の中の屋敷に住む元大女優が自殺した場面から始まる。その死体を囲んで女優の娘や医者、看護婦、執事たちが立ちすくむカットが、映画の冒頭部分であった。
その後、映画は順調に撮影されていき、問題編の撮影がほぼ終了した。冒頭部分の後に場面転換があって、嵐の夜に元女優の屋敷に私立探偵が迷い込む。
私立探偵によれば屋敷に通じる道路ががけ崩れにあって通行不能。ほかに屋敷に通じる道はないので、閉ざされた山荘の状態になってしまう。
その屋敷で元女優の看護婦が窓から突き落とされて殺される。看護婦の遺体を前に探偵をはじめ屋敷の面々は苦悩。そんななかで探偵は、いつまでも姿を見せない元女優をいぶかしむ。
そして、この後に解決編の撮影というときになって大柳が失踪した。慌てるスタッフや俳優。大柳の失踪が明らかになれば出資者たちは騒ぎ出すに違いない。
スタッフや俳優たちは鳩首協議して、撮影が済んだフィルムから犯人を捜し、映画の結末をつけることにしたが…
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